2006 Fiscal Year Annual Research Report
固相ナノチューブ成長その場観察技術の開発と触媒金属結晶面の同定
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17360318
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 淳一 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (10361320)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 鉄微粒子 / 電子・イオン励起反応 / 走査型透過顕微鏡 / in-situモニタリング / 固相反応 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブの合成では炭化水素等を原料とした気相成長が一般に用いられる。これに対して、我々はアモルファスカーボンのナノ構造体(固体)の中を鉄微粒子が動く事で、固相においてナノチューブ成長が起こる新しい成長様式を見いだした。本研究課題では、このような固相成長の成長メカニズム解明、成長制御技術の確立、さらには、鉄微粒子の固相成長時の結晶面の同定を行う事で、ナノチューブの直径とカイラリティ制御に向けた基礎的技術知見を得る事を目的としている。 今年度は鉄微粒子の移動と温度勾配の関係を調べ、650℃における鉄の拡散速度および、拡散方向が温度勾配に沿った低温側への移動であることを実験的に証明した。試料として、FIB-CVD法を用いて直径30μmのタングステンヒータ上に厚さ100nm幅1μmのアモルファスカーボンウォールを作成し、その中央にライン状に幅60nmの領域に鉄がドープされている。この試料を電気炉の中で等方加熱を行い、時間依存の鉄粒子拡散を追跡した結果、680℃の等方的加熱条件において、鉄微粒子の拡散は等方的であり、その拡散定数は約0.06nm2/min.であった。一方で、真空中での通電加熱を行うと試料は異方的加熱状態となり、ウォール先端にむけた温度勾配が形成される。この異方的温度勾配の元での拡散は、ガウシアン分布中央がウォール先端にシフトする事が確認できた。すなわち、鉄微粒子は温度の低い方向に拡散していく。これは、鉄微粒子によるグラファイト化反応が発熱反応である事を示している。 さらに、局所的な鉄微粒子の人為的操作を目的として、超尖鋭プローブの開発に成功した。通常の電界研磨で得られるプローブ先端の曲率はせいぜい20nm程度である。ところが、プローブ先端に多層ナノチューブを固定し、電界放射を行う事で超尖鋭プローブ先端が得られる。このプロセスでは放射電流によるジュール加熱でプローブ先端が軟化し、ナノチューブがクーロン力で陽極に引かれるために、プローブ先端が引き延ばされ、先端曲率が5nm程度の超尖鋭プローブが形成される。次年度は、これらの知見を応用し、鉄微粒子移動の人的制御と、鉄とグラファイトメとの結晶面相関について調べていく。
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Research Products
(3 results)