2007 Fiscal Year Annual Research Report
固相ナノチューブ成長その場観察技術の開発と触媒金属結晶面の同定
Project/Area Number |
17360318
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 淳一 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (10361320)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 鉄微粒子 / 電子・イオン励起反応 / 走査型透過電子顕微鏡 / in-situモニタリング / 固相反応 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブの合成では炭化水素等を原料とした気相成長が一般に用いられる。これに対して、我々はアモルファスカーボンのナノ構造体(固体)の中を鉄微粒子が動く事で、固相においてナノチューブ成長が起こる新しい成長様式を見いだした。本研究課題では、このような固相成長の成長メカニズム解明、成長制御技術の確立、さらには、鉄微粒子の固相成長時の結晶面の同定を行う事で、ナノチューブの直径とカイラリティ制御に向けた基礎的技術知見を得る事を目的としている。 今年度は鉄微粒子の移動と温度勾配の関係を調べ、600℃、650℃、および700℃における鉄の拡散速度および、拡散定数を同定し、鉄微粒子のアモルファスカーボン拡散における活性化エネルギーが約1.8eVである事を見いだした。また、鉄微粒子のランダムウォークを調べると、その分布はガウス型というよりは、ローレンツ型に近い分布を示し、通常の粒子拡散とは異なるメカニズムで活性化されている事が示唆される。また、試料内に拡散中の鉄微粒子の動きを急速冷却でクエンチし、その結晶方位の同定を行った。その結果鉄微粒子の結晶方位は粒子側壁を取り巻くグラファイト層に対して、多くの場合に<100>軸方向を向いており、グラファイトC軸//鉄<100>の関係である場合が多く観測される。さらに、昨年度に開発成功した超尖鋭プローブの先端に形成される局所電界分布をSEM/STEMの画像中にリアルタイムに可視化する事にも成功した。鉄微粒子の動きが基本的には拡散媒体であるアモルファスカーボン母材の温度勾配に支配されるが、この粒子挙動を局所電界による双極子力で制御する事を目的としている。電顕の1次電子はプローブ先端の局所電界で散乱され、その散乱角をグリッド状検出器(特許)で検出する事でリアルタイムに局所電界が多階調可視化できることを証明する事ができた。
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Research Products
(22 results)