2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360335
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
内田 裕之 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (20127434)
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Keywords | 水蒸気電解 / セリア / ニッケル / 水素製造 / LSCF |
Research Abstract |
安定化ジルコニアなどの固体電解質を用いる高温水蒸気電解(SOEC)では、カソードで水蒸気から水素を発生させ、生じた酸化物イオンが電解質中を移動してアノードで酸素を発生させる。一段階で高純度な水素が得られるという水電解法の特徴に加え、高温では、熱力学的および反応速度論的に有利になり、貴金属電極を用いなくても低い電解電圧で水素製造が可能になる。また逆作動させれば固体酸化物形燃料電池(SOFC)として機能し、高効率発電も可能になる。すなわち、電力と水素の直接交互変換装置である。 これまで開発されていたSOECの運転温度は、固体電解質と電極の性能が不充分であったため、約1000℃に限定されていた。もし、800℃以下の低温作動が可能となれば、構成材料に関する問題も解決されるばかりでなく、幅広い廃熱が利用可能となり、実用化に拍車がかかる。本研究では、その最重要課題である高性能電極を開発し、低温作動SOECの実現に貢献することを目的とする。 本年度は、以下の研究成果を得た。 1.ニッケル-サマリアドープセリア(CeO_2)_<0.8>(SmO_<1.5>)_<0.2>(Ni-SDC)二重層構造電極を提案し、設計概念どおりの電極を作製できた。二重層構造にすることで電極触媒活性と電子導電性を高く保つことができた。触媒層への少量のNi触媒の担持により特性が著しく向上し、その効果は作動温度が低いほど大きかった。触媒層へNi溶液を加圧含浸することでNi触媒分散性が向上した。SOFCアノードとして作動させると、800℃、過電圧0.2Vでの水素酸化電流密度が1.6倍向上した。Ni溶液を加圧含浸した二重層構造電極(Ni 10vol.%)のSOECカソード特性は昨年度に開発した17vol.%Ni-SDC単層電極とほとんど同じ性能を示し、少量の触媒を有効に機能させることができた。 2.La_<0.6>Sr_<0.4>Co_<0.2>Fe_<0.8>O_3(LSCF)/(LSCF+SDC)二重層構造電極を提案し、概念どおりの電極を作製できた。(LSCF+SDC)触媒層のSDC添加量の検討を行い、40vol.%SDCで最も高い性能を示すことを見出した。二重層にすることで単層よりもSOECアノードの性能は顕著に向上した。
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Research Products
(1 results)