2005 Fiscal Year Annual Research Report
階層のある材料組織の定量化と陽的均質化法によるその強度予測
Project/Area Number |
17360337
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 純教 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10144213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 敏幸 物質・材料研究機構, 計算材料研究センター, 主任研究員 (80225599)
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Keywords | 組織自由エネルギー / フェライト鋼 / 耐熱鋼 / マルテンサイト / 転位密度 |
Research Abstract |
階層構造を組織自由エネルギーにより定量化し、その時間発展をそのエネルギーの時間関数として表現することを目指し、研究初年度の平成17年度では以下の研究を進めた。 (1)組織自由エネルギーの評価に必要なパラメータを決定するための基礎実験:Fe-10mass%Crを基本系としたFe-Cr-C三元系鋼を用いて、所定の熱処理を施した後、階層構造の各界面である旧オーステナイト粒界、マルテンサイト相のパケット境界、ブロック境界およびラス境界のそれぞれの界面エネルギーの総和を、それぞれの界面積の絶対値、およびそれぞれの面積割合の時間発展から実験的に見積った。一方、MC炭化物、Cr_<23>C_6炭化物およびLaves相の各析出物については、その大きさと体積率に関する実験値から組織自由エネルギー変化に対する寄与を見積った。その結果、炭化物析出による自由エネルギー変化が数十J/molであるのに対し、Laves相析出にともなうエネルギー変化は数J/molと一桁小さい値であることがわかった。さらに、マルテンサイト相の階層構造であるパケット境界、ブロック境界およびラス境界の変化によるエネルギーは1J/mol以下と極めて小さい値であることが明らかとなった。 (2)ラスマルテンサイトの歪エネルギーの評価:Fe-Cr-C三元系鋼のラスマルテンサイト内に蓄積された歪エネルギーを見積るために転位密度の測定を行い、弾性論に基づいた転位エネルギーを基に、ラスマルテンサイト中に蓄積された弾性歪エネルギーの算出を行った。その結果、オーステナイト相からマルテンサイト相への変態直後の歪エネルギーは約7J/molであったが、600℃で数時間の焼戻しにより急激に減少し、それは約1J/molとなった。 以上の結果は、今後マルテンサイト鋼の組織変化をPhase-field法を用いてシミュレートするための基礎的データである。
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Research Products
(4 results)