2006 Fiscal Year Annual Research Report
ARB法を利用したバルクメカニカルアロイングによる非平衡相の形成機構の解明
Project/Area Number |
17360355
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 伸泰 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30263213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝野 和博 物質・材料研究機構, 材料研究所 ナノ組織解析グループ, ディレクター (60229151)
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Keywords | 強ひずみ加工 / ARB / メカニカルアロイング / 過飽和固溶体 / アモルファス / 金属間化合物 / ナノコンポジット / 界面 |
Research Abstract |
異種金属積層体に対し、ARBプロセスによる強ひずみ加工を施すことによって、バルク体の状態でメカニカルアロイングが生じ、過飽和固溶体やナノ結晶、場合によってはアモルファスが形成されることが明らかとなった.例えばCu/Zrの組み合わせの場合、異種金属の界面近傍で原子の混合が起こり、アモルファス化が優先的に進行する.室温で巨大ひずみ加工を行なっているにも関わらず、原子レベルの混合がマトリクス部でも大きく進行する.そのメカニズムは、単に拡散だけによるものとは考えにくく、塑性変形あるいは転位運動の寄与を考慮した新しい機構を考察する必要がある.ARB材に対して適当な温度で熱処理を行なうと、thermally activated amorphizationが進行し、アモルファスの体積率が増加する結果、硬質なアモルファス層と軟質な金属結晶相よりなるナノコンポジットが形成される. 異種金属接合体に対し、より大きな塑性ひずみを与えることのできるHPTプロセスによる強ひずみ加工を適用すると、試料全面の均一な過飽和固溶体化や、アモルファス単相化が生じることが、Cu/Ni,Cu/Ag,Cu/Zrなどの組み合わせで明らかとなった. 本研究により、与えた塑性ひずみ量とメカニカルアロイングの進行の関係が初めて明らかになるとともに、様々なナノ解析により、局所的な組織と組成の変化が定量的にとらえられた.こうした結果により、これまで粉末材にしか適用できなかったメカニカルアロイングのバルク材への適用可能性が開拓されるとともに、非平衡相の形成機構に関する基礎的知見が大きく前進した.
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