Research Abstract |
積層造形法は,当初プラスチックなどの成形用金型の模型を作製する迅速模型作製法(Rapid Prototyping)として幅広く研究されてきたが,近年,機械部品などの製品そのもののニアネットシェイプ製造法として脚光を浴びて来ている.研究代表者らはこれまで,溶融紡糸堆積(FSD)装置を試作し,アルミニウム合金と銅合金による円筒,角筒,板,棒などの基本形状について,形状制御パラメータのデータベース化を進めてきた.本申請課題の17年度では,製品の表面性状及び歩留まりに大きな影響を及ぼすと考えられるノズルの径及び材質の影響について調べた.初めに,ノズル径を0.25〜0.4mmまで変化させて円筒試料を作製した結果,ノズル形が小さくなるにつれて表面性状は悪化した.これは,新たに積層された溶湯による下層の再溶解に必要な熱量が得られなかったため,再溶解による平滑化が十分に生じなかったためであると考えられる.次に,ノズル径0.4mmにおいて,ノズル材質を黒鉛及びKCカーボンセラミックスに変更して円筒試料を作製した結果,黒鉛ノズルでは溶湯の流出及び積層は可能だが,大気中での実験のため黒鉛が酸化してノズル径が変化しため,ノズル部の継続的な利用はできなかった.また,KCカーボンセラミックスノズルでは,溶湯は流出したが,溶湯が不安定に流出したため,安定した積層ができなかった.これは,KCカーボンセラミックス表面のホウ珪酸ガラス形成により,ノズル径がわずかに変化したためと考えられる.しかし,大気中で実験を行っても酸化が進行しない為,再利用が可能という点で有望な材料であることがわかった.また,これまで合金溶解部とノズル部が一体化した装置から,合金溶解部とノズル部を分離させた装置を試作した.これにより,製品形状の適用範囲の拡大が可能になると考えられる.今後は,試作した装置を用いて,製品形状の拡大及び作製した金属部品の特性を評価する.また,形状制御パラメータのより詳細な調査及びパラメータのデータベース化を行う.
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