Research Abstract |
Pdをコア,CoまたはFeをシェルとした二元金属ナノ粒子を調製し,これをシリカ-アルミナまたは酸化マグネシウム上に担持させてカーボンナノチューブ(CNT)合成触媒に用いた。原料ガスにアセチレンを用いた場合,反応温度が600℃から700℃へ増加すると,シリカ-アルミナ担体ではCNTの径が温度上昇に伴って13nmから16nmに増加したが,酸化マグネシウム担体では非常に長いCNTが生成し,径は温度に関わらず約20nmで一定であった。生成したCNTの結晶構造をラマン散乱,XRD,高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)にて評価した結果,いずれも反応温度が高い程,結晶性が増加することが分かった。触媒活性種としてCo-PdとFe-Pdを用いたが,両者で活性やCNTの結晶構造にあまり差異は認められなかった。一方,原料ガスにエチレンを用いると,Fe-Pd/酸化マグネシウム担持触媒上では,反応温度が600℃や650℃ではCNTの径が15nmであったが,700℃では44nmと大きく増加した。生成したCNTの結晶構造は,アセチレンを用いた場合と比べて発達しておらず,また,温度を上昇させても結晶性の増加は認められなかった。HRTEMで炭素網面の配列状態を詳しく観察すると,アセチレンではCNTの繊維軸方向に平行に配列していたが,エチレンでは,短い炭素網面がCNTの中心に向かって斜めに向いており,配向状態も良くないことが分かった。このように,エチレン原料では炭素網面は特異的な様子を示したが,これは,コアーシェル構造を有する触媒の特性に関係していると考えられ興味深い。このように,二元金属ナノ粒子を触媒活性種として用いると,特異的な構造を有するCNTが合成できることが明らかとなった。
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