2005 Fiscal Year Annual Research Report
高難度酸化反応を目指した新規無機多孔体の触媒機能化
Project/Area Number |
17360387
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
海老谷 幸喜 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (50242269)
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Keywords | グリーンケミストリー / ワッカー反応 / エポキシ化反応 / アルコール酸化反応 / one-pot反応 / 分子状酸素 / ハイドロタルサイト / モンモリロナイト |
Research Abstract |
本研究では、高度な酸化反応を目指し無機多孔体の特性に基づき高機能性触媒を開発している。以下に主な成果を述べる。 1.層状粘土鉱物モンモリロナイト(mont)の層間カチオン交換能を利用して層間に固定化したPd(II)種は、シート状の構造をもつことを見出した。本触媒は、分子状酸素と銅をPd(0)種の再酸化剤とした極めて効率的なWacker反応系を可能とした。また、mont層間に固定化した単核バナジウムカチオン種は、分子状酸素のみを酸化剤としたオレフィン類のエポキシ化反応を効率よく進行させる極めて特異な固体触媒となることも見出している。 2.金属カチオン交換モンモリロナイト(M^<n+>-mont)は、固体酸触媒として機能することを見出しているが、その酸点は数Aのmont層間の金属カチオン種に起因する。また、約40μmの粒子である層状粘土鉱物ハイドロタルサイト(HT)は、表面塩基点をもっている。この2つの固体触媒を混合しても、 mont層間の酸点とHT表面の塩基点は接触することなくお互いの機能を発揮でき、複数の酸・塩基触媒反応を連続的に進行させるone-pot反応を可能とした。 3.HT表面では、ルテニウムとマンガンからなるRuMnMnトリメタリック種を創製でき、分子状酸素を酸化剤に用いたアルコール類のカルボニル化合物への選択的酸化反応を迅速に進行させることが可能であった。また、反応の動力学的検討により、隣接Mn種は反応中間体であるルテニウムアルコキシド種からのβ-水素脱離を促進していると考察した。 無機結晶性化合物の特性を利用して開発した上記固体触媒は、分離・回収が容易で再使用が可能である。また、シクロヘキサノールの酸化反応・ジオールの開裂反応等さらに高難度な酸化反応の達成の目標に新規触媒の開発を行った。
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Research Products
(19 results)