2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機フッ素化合物の微生物酵素変換:精密反応機構解析と物質生産・環境浄化への応用
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17360397
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70243087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
三原 久明 京都大学, 化学研究所, 助手 (30324693)
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Keywords | 有機ハロゲン化合物 / 有機フッ素化合物 / 脱ハロゲン / デハロゲナーゼ / フルオロ酢酸デハロゲナーゼ / 還元的脱ハロゲン化酵素 |
Research Abstract |
1.Burkholderia sp.FA1由来フルオロ酢酸デハロゲナーゼはフルオロ酢酸の加水分解的脱フッ素反応を触媒しグリコール酸をあたえる。本酵素反応ではD104の側鎖カルボキシル基が基質のα-炭素を求核攻撃し、フッ化物イオンが脱離するとともに、酵素と基質がエステル結合した中間体が生成する。続いて、基質とエステル結合を形成したD104のカルボキシル基の炭素原子を、H271によって活性化された水分子が求核攻撃して、グリコール酸が遊離するとともにD104が再生する。野生型フルオロ酢酸デハロゲナーゼ、D104N変異型酵素とフルオロ酢酸の複合体(Michaelis複合体)、H271Aとクロロ酢酸の複合体(エステル中間体)のX線結晶構造解析を行った。その結果、上述の反応スキームの妥当性が示された。また、基質の結合に伴って活性部位の入り口付近のループがコンフォメーション変化を起こし、open型からclosed型へ構造変化することが示された。基質カルボキシル基はH149、W150、Y212、R105、R108によって認識され、フッ素原子はR108によって認識されることが示された。一方、活性部位近傍のアミノ酸残基を部位特異的変異法で改変した結果、W150をA、F、Q、K、Y、Rに改変した変異型酔素では、クロロ酢酸に対する活性は保持されるものの、フルオロ酢酸に対する活性はほぼ完全に消失することが示され、W150がフルオロ酢酸を基質とする反応において重要な役割を担っていることが示された。 2.種々の有機ハロゲン化合物を電子受容体として生育する嫌気性菌のスクリーニングを行った。その結果、1,1,1-トリクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン(Freon 113a)を電子受容体とした集積培養によってSulfurospirillum属の細菌が得られた。一方、テトラクロロエチレンを電子受容体とした集積培養では、16S rRNAの配列がuncultured bacteriumの16S rRNAの配列と98%の相同性を示す細菌が得られた。
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Research Products
(4 results)