2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機フッ素化合物の微生物酵素変換:精密反応機構解析と物質生産・環境浄化への応用
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17360397
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (70243087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
三原 久明 京都大学, 化学研究所, 助教 (30324693)
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Keywords | 有機ハロゲン化合物 / 有機フッ素化合物 / 脱ハロゲン / デハロゲナーゼ / フルオロ酢酸デハロゲナーゼ |
Research Abstract |
1.フルオロ酢酸資化性菌Burkholderia sp. FA1が生産するフルオロ酢酸デハロゲナーゼはハロ酢酸の加水分解的脱ハロゲン反応を触媒しグリコール酸を生成する。基質特異性の改変や脱フッ素に必須の活性部位残基の同定を目的として活性部位残基を改変し変異型酵素の機能解析を行った。その結果、W150F変異型酵素では、クロロ酢酸に対する脱塩素活性は野生型酵素と同等であるのに対して、フルオロ酢酸に対する脱フッ素活性は完全に消失することが明らかとなった。W150はフルオロ酢酸の脱フッ素に特異的に必要とされる残基であることが示された。Wl50と基質の相互作用を解析するため、野生型酵素およびWl50F変異型酵素に基質を添加し、トリプトファン残基に由来する蛍光への影響を分析した。フルオロ酢酸を添加した場合、野生型酵素の蛍光強度は減少したのに対し、W150F変異型酵素の蛍光強度は減少しなかった。一方、クロロ酢酸を添加した場合、野生型酵素とW150F変異型酵素の蛍光強度は、ほぼ同程度、減少した。この結果は、フルオロ酢酸を添加した場合のみWl50の蛍光強度が変化することを示しており、クロロ酢酸とフルオロ酢酸でW150との相互作用の様式が異なるものと考えられた。 2.2-クロロアクリル酸資化性菌Burkholderia sp. WS由来の2-ハロアクリル酸レダクターゼとNADPH再生系として機能するグルコースデヒドロゲナーゼを共発現する組換え大腸菌を作製した。この組み換え大腸菌を用い、2-クロロアクリル酸を基質として、除草剤原料として有用な(S)-2-クロロプロピオン酸の生産を行った。30時間の反応によって346mM(37.4 g/1)の(S)-2-CPAが99.9%以上の光学純度、89.8%の収率で生成した。現在、(S)-2-クロロアクリル酸は主に光学分割法で生産されており、収率の理論的上限は50%であるが、この従来法を上回る収率の製法を開発することに成功した。
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Research Products
(3 results)