2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360401
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西尾 尚道 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (30034383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿薗 俊英 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助教授 (00214255)
中島田 豊 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (10281164)
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Keywords | バイオガス / 水素 / 二酸化炭素 / 一酸化炭素 / エタノール / Moorella sp. / Clostridium Ijungdahlii / 酢酸 |
Research Abstract |
本年度は、バヒオガスを介した生物的物質生産プロセスの構築の研究をさらに進める目的で以下のとおり実施した。 (1)エタノール高生産株の育種 Moorella sp.HUC22-1株のゲノムDNAからエタノール生産関与遺伝子を取り出し、コードする酵素を大腸菌で大量発現させ、その機能を解析したところ、これらの酵素はいずれもエタノールを生産する方向に強い活性を有していることが分かった。また、逆転写反応とリアルタイムPCRを用いて、これらの遺伝子のHUC22-1株菌体内での発現レベルの測定を行ったところ、エタノール生産経路の入り口にあたるアセトアルデヒド脱水素酵素の発現量がH_2-CO_2ガスを基質に培養した場合に、フルクトースを基質とした場合の約3倍に増大することが分かった。これらの結果から、これまでに考えられていたH_2-CO_2ガスからのエタノール生産代謝経路の仮説の裏付けを得ることが出来た。 さらに、相同性組換えを用いたゲノムDNAへの組込みによる形質転換系の開発を試みた。その結果、相同性組換えによりウラシル合成に必要な遺伝子pyrEを欠損したウラシル要求性HUC22-1株を作製することに成功した。現在は、このウラシル要求性株をホストに、pyrEを選択マーカーに用いた形質転換系の確立と、その形質転換系によるアルコール脱水素酵素遺伝子などのHUC22-1株への導入、及びそれによるエタノール生産性の向上を試みている。 (2)培養系でのエタノール生産 Clostridium Ijungdahliiを用いて、培養系によるエタノール生産を検討した。その結果、まずH_2・CO_2で培養し、その後CO40%をガス相に入れる事により、最大エタノール生産濃度50mMを得る事ができた。また、CO濃度を制御すればエタノールは増加すると考えられるので、次年度はCO制御培養を行なう予定である。 (3)休止菌体での酢酸のエタノール変換 Moorella sp.Huc22-1株のH_2・CO_2培養菌体を用い、休止菌体系での酢酸からのエタノール生産を試みた。電子供与体としてCOを用い、反応温度40℃で菌体1当たりのエタノール生産量147g/kg dry cellを得る事ができた。 (4)エタノール生成に関与する酵素系 Clostridium Ijungdahliiを用いて、エタノール生成に関与する酵素活性を測定した。その結果、アルコール脱水素酵素およびアルデヒド脱水素酵素灘が検出され、且つアルコール生成側にシフトしている事、および補酵素は両者ともNADHあるいはNADPH依存であることが判明した。この点、Moorella sp.Huc22-1では、アルコール脱水素酵素はNDAH,アルデヒド脱水素酵素はNADPHであるのと異なっていた。
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Research Products
(2 results)