2006 Fiscal Year Annual Research Report
外惑星および恒星間領域探査に向けたセイル型宇宙機の性能に関する気体力学的研究
Project/Area Number |
17360408
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 宏二郎 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (10226508)
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Keywords | 惑星探査 / 極超音速空気力学 / プラズマ流 / エアロキャプチャ / ウェイブライダー / 柔軟膜構造 / 誘導結合プラズマ / 電磁流体加速 |
Research Abstract |
ソーラーセイルの広大な膜面は、惑星大気圏飛行時に空気力を発生し、ロケット燃料不要の惑星周回軌道投入(エアロキャプチャ)や惑星間軌道変換を可能にする。セイル面の空気力を有効利用するため、柔軟膜構造の極超音速流中における特性と、高い揚抗比を発生する形状最適化、に関する研究を行った。 耐熱膜材料を気流中で形状保持させるため、高温で強度を発する形状記憶合金線材のリングを外枠とする円錐台エアロシェルを考案した。東京大学柏キャンパスの極超音速高エンタルピー風洞で実験を行い、気流中で機体は安定して空気力を発生すること、空力加熱と形状記憶合金の組み合わせは衝撃荷重のない形状変化法として有望なこと、を実証した。 探査機が惑星大気圏飛行中に揚力を発生することで、その飛行軌道制御能力が大幅に向上する。極超音速において高い揚抗比を得る形状としてウェイブライダーに着目し、流体数値シミュレーション(CFD)を用いた形状最適化コードの開発を行った。まず、テストケースとして2次元断面形状最適化を行い、極超音速飛行体では最大揚抗比時の揚力が低いため翼面荷重を下げる必要があること、空力加熱対策の鈍頭前縁は揚抗比を大きく下げるため、その半径はできるだけ小さくする必要があること、を明らかにした。前者は、軽量大面積のセイル機が極超音速機に適合していることを示唆するものである。 外惑星の高層大気を高速で飛行する状態を模擬するため、高速高温希薄水素気流発生装置の開発を進めた。これまでの実験より、通常のノズルではスロートの熱負荷が過大となることがわかったため、プラズマの加速方法は磁気ノズルと電磁流体加速の併用とした。そのための試験部を開発し、誘導結合プラズマ発生装置に装着した。電源系の整備や磁気ノズルなどのテストは済んでおり、本装置を用いた膜面材料の高温高速希薄水素気流中での耐久性評価が行えるようになった。
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Research Products
(2 results)