2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360448
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金子 純一 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (90333624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古坂 道弘 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (60156966)
藤田 文行 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (10002312)
鬼柳 善明 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (80002202)
加美山 隆 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (50233961)
大竹 淑恵 理化学研究所, 主任研究員 (50216777)
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Keywords | 中性子 / 光学素子 / 位相空間変換 / 単結晶 / 振動 / 水晶 / ドップラー効果 |
Research Abstract |
本研究においては新しい中性子制御手法開発の一環として、能動的な中性子光学素子の開発を目指している。これは水晶等の単結晶材料に対して何らかの方法によって目的とする結晶面に速度を与えることで、ドップラー効果による中性子波長の制御を狙う。これにより特定の波長の中性子強度を増大させたり、発散角の抑制をするなどの応用が考えれる。 これまで結晶自体が圧電性を持ち、電気的に励振することが可能な水晶を中心に研究を進めてきた。前年度ATカット水晶を用いて制御・測定回路の動作確認、およびレーザードップラー速度干渉計を用いた振動速度測定系の整備を行った。今年度は前年度の経験をベースに、結晶性の高い大型水晶の単結晶の入手したうえでより適当な振動速度を得られるXカット水晶の長さ振動モードを利用して実験を行った。予備実験として、前年度開発した結晶制御回路を使用し、顕微鏡観察下で結晶を振動したところ空気中でも十分大きな振動振幅が得られる事を確認した。この上で原子力研究開発機構JRR-3Mガイドホールに設置された東京大学物性研究所・ULS装置において実際に中性子回折実験を行った。 その結果、回折された中性子の検出位置が水晶の振動周期に合わせて変化することを確認した。位置変化は2ミリラジアン程度と、予備実験ならびに事前の概算から想定していた値とオーダー的に一致しており、今後解析を進めていくことでより正確な合致が得られることを期待している。一方、実験結果の一部はXカット水晶の振動パターンから予想されるものと異なっており、現在その理由を検討中である。 次年度は速度干渉計による振動速度測定と中性子回折実験結果の解析を並行して進めて行い、本研究提案の目的である結晶振動による中性子制御技術の原理検証を再現性のあるデータとともに示すことを目指したいと思う。
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