2008 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘起触媒の探索とその非均質系における反応機構の解明
Project/Area Number |
17360461
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山田 禮司 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (90370486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永石 隆二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (00354895)
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Keywords | 放射線誘起還元反応 / 放射線誘起水素生成反応 / 放射線分解 / 酸化物 |
Research Abstract |
ジルコニア系酸化物は、ZrO_2に異種の酸化物を添加すると強靭性やイオン伝導性が発現する非常に興味深い酸化物である。ZrO_2は単斜晶であるが、Y_2O_3,MgO,CaOなどの酸化物を添加して焼成し複合化すると添加量の増加と共に正方晶、立方晶と変化することから、放射線触媒機能と結晶構造の相関性を知る上で格好の系である。これらの複合酸化物の添加濃度を変えた粉体を硫酸水溶液に混合しCo-60γ線照射により発生する水素を測定した。その結果、MgO添加ZrO_2酸化物ではZrO_2と比較して水素発生収率は減少するが、Y_2O_3添加したZrO_2酸化物ではMgOやCaO添加の場合よりも大きな収率が得られた。MgOやY_2O_3粉体自体はZrO_2粉体よりも水素発生収率は小さく、単純にこれら粉体をZrO_2粉体に混合した場合にはZrO_2単体の値よりも収率は小さくなった。今回の様に焼結し複合化した場合、Y_2O_3添加ZrO_2酸化物では単純混合の場合よりも大きな値を取った。各試料の結晶構造、粉体粒径や比表面積などの物性測定値と収率との明確な相関性は得られなかった。一方、6価Crイオンを含む水溶液にSiO_2ゾルを分散した系では、放射線照射で発生するOHラジカルを捕捉することで、Crイオンが高効率で還元することを別の実験で明らかにした。この結果は、SiO_2ゾル表面がOHラジカルを捕捉するため金属イオンの還元が促進されることを示唆している。一般にOHラジカルの捕捉は水素発生量も増加させる。今回の水素発生実験及び物性評価の結果は、複合酸化物表面でのOHラジカル捕捉効果の材料及び表面構造依存性を考慮すべきであることを示唆している。
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Research Products
(1 results)