2005 Fiscal Year Annual Research Report
固体構造における高速イオン移動のための階層型トンネルの設計
Project/Area Number |
17360464
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 健 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50115953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 光宏 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (20270910)
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Keywords | 固体電気化学 / イオン導電性 / リチウムイオン電池 / バナジウムコバルト酸化物 / インターカレーション / X線吸収微細構造 |
Research Abstract |
1.一次元トンネルを有するバナジウムコバルト酸化物CoV308のリチウム挿入脱離特性 バナジウムコバルト酸化物CoV308は水熱合成により単結晶が得られており、一次元トンネルを特徴とする構造である。固体内イオン移動を理解するためには、トンネル構造とリチウムインターカレーション特性との相関を明らかにする必要がある。この材料の従来の合成法である水熱合成では収量が非常に小さく、電極材料としての特性を調べることは困難であったため、本研究でははじめに固相法による所望量の合成手法を確立した。その上で電気化学的リチウム挿入脱離特性を調べ、初めの挿入過程において2.3,2.0及び1.8V(vs.Li+/Li)付近で段階的に反応が進んでいることがわかった。またその後の引き抜き及び挿入は、一段階でほぼ可逆に反応が進行し、CoV308は充放電可能な物質であることが明らかとなった。 2.非晶質過酸化ポリタングステン酸のX線吸収微細構造(XAFS)による構造解析 金属タングステンと過酸化水素から直接合成可能な固体酸である非晶質の過酸化ポリタングステン酸(PPTA)は、六方晶WO3の前駆体であるが、これ自身も構造中でのイオン移動が可能である。これまでに構造モデルが推定されているが詳細な構造については明らかにされていない。本研究ではイオン移動と構造との関係を明らかにする目的で、PPTAの構造を調べるためX線吸収スペクトルの測定を行い、XAFS解析を行った。タングステンの第一近接酸素は、熱処理前は稜共有の酸素原子であるが、熱処理によって頂点共有された酸素原子が支配的になることがわかった。第二近接酸素は120℃の熱処理で消失した。これは熱処理による過酸化物基や水和水の分解に起因すると考えられる。以前提案されたPPTAの構造モデルは配位数については説明が困難であることが明らかとなった。熱処理によって頂点共有のW-O結合による重合が進むという従来の説明は、本研究においても支持された。
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Research Products
(4 results)