2005 Fiscal Year Annual Research Report
加速度のマイクロ計測による潜水性海鳥の最適採食行動の研究
Project/Area Number |
17370007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
綿貫 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教授 (40192819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 克文 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50300695)
森 貴久 帝京科学大学, 理工学部, 講師 (90367516)
高橋 晃周 国立極地研究所, 助教授 (40413918)
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Keywords | 行動学 / 海洋生態 / 生態学 / 先端機能デバイス / 環境変動 |
Research Abstract |
本研究の実施にあたり、その参考とするために既存の野外観測データを解析し、本研究テーマにかかわる部分の研究とりまとめをおこなった。1)翼ではばたくペンギンやウミガラス、いずれも沈降中は深度とともに急速に低下する浮力抵抗につり合うよう平均的な前進出力を低下させて、ほぼ一定の速度で遊泳したが、その速度は種ごとに異なっていた。ペンギンでは多分出力を変えて、ウミガラスは打ち上げによる出力を変えることで、前進出力頻度を調整していた。以上の推論は、定速遊泳を仮定しており、実際には彼等は羽ばたきに伴い急な加速減速をくりかえすため、これに見合ったモデルの構築が必要である。一方、いずれの種でもパワーストローク時間とその時の最大出力はほぼ一定に保たれていると考えられた。2)プリビロフ島に繁殖するハシブトウミガラスが、繁殖地周辺の島周りにできる湧昇域で採食する時は、数十メートルまでの深い潜水をし、はなれた海域で水温躍層がある場所では、20-30mの水温躍層深度まで浅い潜水をすることがわかった。餌の鉛直分布に関する知識をもっている可能性が示唆される。3)60-90mまで潜水するアオメウは40m程度で中性浮力に達すると予想される。沈降浮上はほぼ鉛直に行われた。沈降中は低下する浮力にあわせるように足かき頻度を、グライド時間を延ばすことで、低下させており、速度は40-50mで最大であるがほぼ一定だった。底から40-50mまでの浮上中は足かき頻度を低下させ、速度はやや低下し、40-50mで最低速度に達して足かきを停止し、その後受動的に浮上した。このような速度変化パターンは最適遊泳速度仮説からは説明できない。足かきは運動とコストがかかるが、さらに抵抗が上昇するのでそれをうちけす仕事が必要になる。このような足かきによるコストの上昇と遊泳速度の上昇による移動時間の短縮の利益をてんびんにかけて足かきを調節している、という新しい仮説を提出した。 スコットランドのメイ島でヨーロッパヒメウにカメラロガーを装着する予備実験を行った。その結果、装着方法やデータ解析手順を確立しつつある。浅い場所では十分な光量があり、餌の捕獲や海底景観などの映像が得られたが、深いところでは映像がまだ荒いことがわかった。さらに器具の改良が望まれる。 これらの成果をふまえ、生態学会大会で本テーマに関する自由集会を開き、現時点でのとりまとめをフィードバックして、今後の研究実行計画を打ち合わせる予定である。
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Research Products
(2 results)