2005 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物ゲノムにおける転写開始複合体の多様性と機能分化
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17370017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小保方 潤一 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (50185667)
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Keywords | 植物ゲノム / 転写開始複合体 / コアプロモーター / in vitro転写系 / プロテオミクス / 転写制御 |
Research Abstract |
植物核遺伝子の転写研究では、これまでコアプロモーターや基本転写機構の多様性は殆ど注目されてこなかった。しかし、筆者らは、光合成核遺伝子に関する研究の中から、進化の過程で葉緑体ゲノムから核に転移した遺伝子群はコアプロモーター領域の構造に特徴的な類型のあること、この類型は正常な転写調節に必要であることを見出した。さらに、植物核遺伝子群のプロモーターを構成する上流調節領域とコアプロモーター領域は、それらを組み合わせたときに正常な転写が生じるかどうかによって、いくつかのサブグループに分類されることを見いだした。これらの知見は、高等植物の核ゲノムでは機能的に分化した多様な転写開始複合体(PIC)が使われており、それらを介した高次の転写制御ネットワークが存在していることを示唆している。しかし、その分子的実体や進化的な位置づけなどはまだ明らかにされていない。 本研究は、植物核で機能する多様な転写開始複合体(PIC)について、特にコアプロモーターサブタイプの特異的認識に関連している成分を比較プロテオミクスの手法で同定すること目的としている。 本年度は、主に以下の3点について解析を進めた、 (1)パーティクルガンによる一過的発現系で、タバコの葉組織に於ける種々のキメラプロモーターの転写活性、光応答などを解析し、その結果を基に、PIC成分の比較分析に用いるモデル遺伝子を選定した。 (2)タバコの培養細胞からプロトプラスト法で調製した単離核に、外来遺伝子を加え、in vitroでの転写活性を検討した。その結果、この系でde novoの転写が生じることが明らかとなり、現在、転写系の作成法や反応条件などについての検討を進めている。 (3)合成シリコンオイルを用いた核の単離精製法について、条件検討を進めている。
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Research Products
(5 results)