2005 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチド由来脂質性シグナルと生体防御応答メカニズム
Project/Area Number |
17370019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
射場 厚 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (10192501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 修 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (60346765)
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Keywords | 病害抵抗性 / イネ / 脂質性シグナル / 葉緑体 / いもち病 / ジャスモン酸 / 脂肪酸不飽和化酵素 |
Research Abstract |
イネにおいて、トリエン脂肪酸の代謝物であるジャスモン酸(JA)はさまざまな病害抵抗性遺伝子の誘導活性をもつことから、イネの病害応答性を誘導する上で重要なシグナル物質であると考えられている。メチルジャスモン酸(MeJA)処理を行った野生株(WT)に対して、非病原性もしくは病原性レースのいもち病菌を接種し、病徴の進展を調べた。MeJA処理をWTにした場合、非病原性レース接種後の病徴の進展はわずかに抑えられた。従って、JAはいもち病菌抵抗性の誘導に関与していると考えられた。次に、トリエン脂肪酸合成酵素遺伝子FAD7の発現抑制によりJA含量を低下させた形質転換イネ(F7Ri)のいもち病菌接種後の病徴の進展を調べた。同系統はJA合成を損っているにも関わらず、非病原性または病原性レース接種後の病徴の進展は抑えられていた。非病原性レースまたは病原性レースを接種した後のF7Riの防御関連遺伝の発現はWTよりも早くなった。これらの結果から、F7Riはいもち病菌に対する水平抵抗性が上昇しており、いもち病菌抵抗性遺伝子を誘導する上で、JAは必須ではないことがわかった。F7Riの水平抵抗性の上昇におけるJAの関与を調べるために、MeJA処理を施したF7RiおよびWTのいもち病菌抵抗性を比較したところ、非病原性または病原性レース接種後の病徴の進展は、F7RiにおいてWTよりも抑えられており、F7Riにおける水平抵抗性の上昇はJAの減少によるものではないことが分かった。また、F7RiはJA合成経路の最初の反応を抑制することから、同経路の中間物質もいもち病菌抵抗性に関与していると考えられた。さらに、MeJA処理をしたF7Riにおいてもいもち病菌抵抗性が相加的に付与されることから、この中間物質はJAとは独立した防御反応に関与している可能性がある。
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Research Products
(4 results)