2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒロハノマンテマと黒穂菌:植物の雌雄とそれを操作する共生菌の分子細胞形態学的研究
Project/Area Number |
17370022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 重行 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70161338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 文也 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (70143865)
杉山 立志 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (30377270)
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Keywords | ヒロハノマンテマ / 黒穂菌 / 雌雄異株 / ABC機能遺伝子 / 花芽形成 / ホメオテック遺伝子 / S1M2 / Y染色体 |
Research Abstract |
ナデシコ科のヒロハノマンテマ(Silene latifolia)はXY型の性染色体をもっており、Y染色体があると雌蕊(♀)が抑制され、雄蕊(♂)が発達したオスの単性花(雄花)になる。一方、黒穂菌は宿主がヒロハノマンテマのように雌雄異株だった場合、雄蕊のある雄株(♂)に感染できる確率は50%ほどにしかならない。雌株(♀)に感染した黒穂菌は、雄蕊がないので、胞子も作れないし、次世代を伝播することもできない。しかし、黒穂菌は自らの子孫を残すために、感染した雌株(♀)の性を撹乱して、雌(♀)なのに雄蕊(♂)を作らせる。この現象は18世紀半ばにリンネによって記載されている。 本研究課題では、ヒロハノマンテマを用いて、17年度に主に健常株をコントロールとして、18年度以降はそのカウンターパートとして主に黒穂菌感染株を用いて解析する。ただ、黒穂菌を用いる場合、感染から発症までかなりの日数を要するので、平成17年度から予備的な研究を開始しないと予定された期限内に課題を遂行することが難しくなる。そこで、研究活動は年度にとらわれず総合的に行い、以下の3点を明らかにしようとしている。 1)ABC機能遺伝子/花芽形成ホメオティック遺伝子/雄蕊特異的発現遺伝子75侯補のプロファイリング:in situハイブリダイゼーション法を用いて、雄蕊(♂)原基と雌蕊(♀)原基で発現パターンを時空間的にプロファイリングしている。2)雄蕊(♂)と雌蕊(♀)の抑制と発達の制御メカニズムの解明:植物において雄花と雌花という性の二形性の発現を可能にした制御メカニズムを、黒穂菌感染雌株(♀)をカウンターパートに、1)で見いだされた代表的な遺伝子(S1M2、S1AP、S1LFY、S1WUS、S1UFO、S1SUP)を調べている。3)宿主の細胞間隙に潜む共生菌が標的細胞や組織を見出すメカニズムの解明:黒穂菌をモデルに、個々の細胞の挙動と分布をin situハイブリダイゼーション法を用いて調査している。黒穂菌感染株をカウンターパートすることで、Y染色体と植物の雌雄性と花芽形成ホメオティック遺伝子の関係が明らかになると期待されている。
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Research Products
(13 results)