2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミンによる植物の花茎伸長制御機構の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
17370023
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 卓 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20271710)
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Keywords | シロイヌナズナ / ポリアミン / 形態形成 / 突然変異 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
シロイヌナズナの花茎伸長に特異的な欠損を示す変異株acl5の原因遺伝子ACL5が、ポリアミンの一つであるスペルミンの合成酵素であったことから、茎伸長におけるスペルミンの作用機構を明らかにするために、acl5の茎伸長が回復したサプレッサー変異株を複数(sac51〜54)単離し、それらの原因遺伝子の同定と相補実験による確認をすすめてきた。今年度の主要な成果は以下のとおりである。 1)サプレッサー変異株の1つsac51について、転写因子をコードしている遺伝子の転写領域内にある上流ORF(uORF)に塩基置換が見い出され、転写因子の翻訳効率の上昇が優性変異の原因であると考えられていたが、この仮説を(a)野生型、変異型のSAC51遺伝子のuORFとGUSレポーターの融合遺伝子を用いた形質転換植物における発現解析、(b)SAC51遺伝子の過剰発現によるacl5変異株の茎伸長回復の確認の2つの実験から検証することができた。 2)sac52の原因遺伝子はリボソームタンパク質L10(RPL10)をコードしていたことを突き止め、組補実験による確認にも成功した。 3)acl5変異株はSPMS遺伝子の存在によりスペルミンを合成していることから、このスペルミンが各sac変異株において茎伸長回復のために転用されている可能性があったため、各sac変異とacl5 spmsの三重変異株を作成し、スペルミン非存在下で表現型を調べた。その結果、茎伸長はすべでのsac変異により回復し、スペルミンに独立であることがわかった。 4)野生型植物、acl5変異株、acl5 sac51二重変異株の芽生えからRNAを調製し、cDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現レベルの変動の網羅的な解析に着手した。下流の遺伝子として維管束分化を制御する転写因子群(HD-ZIP III, VND)が関わっていることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)