2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミンによる植物の花茎伸長制御機構の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
17370023
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 卓 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20271710)
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Keywords | シロイヌナズナ / ポリアミン / 形態形成 / 突然変異 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
これまでの研究において,シロイヌナズナの花茎伸長に特異的な欠損を示す変異株ac15の原因遺伝子ACL5は,ポリアミンの一つであるスペルミンの合成酵素であるとして研究を進めてきた。しかし,スペルミンの構造異性体であるサーモスペルミンを合成する可能性については,分離の困難さから調べていなかった。そこで,サーモスペルミンの検出と植物へ与えた時の効果について,実験を加えた。茎伸長における,これらポリアミンの作用機構の解明については,予定通りac15の茎伸長が回復したサプレッサー変異株の解析を進めた。今年度の主要な成果は以下のとおりである。 1)城西大学,新津教授の協力を得て,植物へのサーモスペルミン投与実験を行った。その結果,ac15変異株の茎の伸長が部分的に回復することが確かめられた。また,過剰に発現していたac15遺伝子が,野生型のレベルまで低下することがわかった。 2)スペルミジンを与えた芽生えを用いることにより,植物抽出液から比較的容易にスペルミンとサーモスペルミンを分離,検出する方法を確立した。野生型株で検出されるサーモスペルミンがacl5変異株では検出されないことが確かめられ,ACL5遺伝子はサーモスペルミン合成酵素をコードすると結論された。 3)サプレッサー変異株の1つsac56について、詳細な染色体マッピングから,変異箇所を含むゲノム領域を狭め,リボソームタンパクL4をコードする遺伝子に点突然変異を見つけた。 4)昨年,クローニングしたヒメツリガネゴケのACL5相同遺伝子について,遺伝子破壊株作成用のDNAを構築し,コケへの遺伝子導入を行った。表現型解析を継続している。
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Research Products
(4 results)