2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
濡木 理 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (10272460)
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Keywords | リボヌクレオプロテイン / トランスファーRNA / RNAプロセシング / RNAの転写後修飾 / 遺伝暗号翻訳 / アミノアシルtRNA合成酵素 / X線結晶構造解析 / 変異体解析 |
Research Abstract |
本年度はtRNAのプロセシング,転写後修飾,アミノアシル化に働く酵素とtRNA(前駆体)の複合体のX線結晶構造解析を行い、遺伝暗号翻訳のメカニズムを原子分解能のレベルで解明することを目指した。tRNAのプロセシングに関しては、Archaeglobus flugidus由来のクラスIのCCA付加酵素とミニヘリックスtRNA前駆体(CCA,CA,Aそれぞれ欠けているもの)とNTPとの計7通りの複合体の構造解析に成功し、CCA付加酵素がポリメラーゼドメインをノッキングしながら基質を厳密に識別し、C、C、Aを正しい順序で重合して行く新規のメカニズムを解明し、論文準備中である。RNasePに関しては、T.thermophilusおよびB.subtilis由来のRNasePホロ酵素とtRNA前駆体の複合体の結晶化に成功し、現在結晶化条件を改良して、高分解能結晶の作成を目指している。また、tRNAの転写後修飾に関しては、A.aeolicus由来のリシジン合成酵素(TilS)の結晶構造を2.2Å分解能で決定し、変異体解析により触媒部位を同定し、触媒メカニズム・tRNA認識機構を解明した(Pro.Natl.Acad.Sci.USAに掲載)。また、L-cysteine由来のチオール基をtRNAへ転移するTusBCDの結晶構造を2.15Å分解能で決定し、新規のチオール基運搬機構を発見した(Structureに掲載)。さらにこのチオール基を最終的にtRNAへ転移する酵素MnmAとtRNAの複合体に関して、3種類の結晶構造を決定し、これがtRNA初期認識ステージ、前反応ステージ、アデニル化中間体ステージに相当することを解明し、さらに変異体解析を行うことにより、MnmAによる硫黄転移機構の構造的基盤、tRNA識別機構を明らかにした(論文改訂中)。また、アミノアシルtRNA合成に関して、Aquifex aeolicus由来メチオニルtRNA合成酵素(MetRs)、tRNA、Met-AMP3者複合体の結晶構造を2.5Å分解能で決定し、tRNAのアンチコドン認識に関する新規の機構を見出した(Nature Struct.Mol.Biol.に掲載)。さらに、古細菌のtRNA依存性アミドトランスフェラーゼ(GatDE)とtRNA^<Gln>の複合体の結晶構造を3.15Å分解能で決定し、GatDEによるtRNA認識・識別機構、GatEサブユニットによるGlu-tRNA^<Gln>のリン酸化反応のメカニズム、GatDで産生されたアンモニアが分子トンネルを通ってGatEの活性中心まで運搬する機構を解明した(論文準備中)。 尚、本課題において東京工業大学大学院生命理工学研究科・助手、沼田倫征(研究者番号10401564)にタンパク質のX線結晶解析用務で理化学研究所に、研究協力出張を依頼した。
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Research Products
(7 results)