2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒアルロン酸の機能実体、SHAP蛋白質との共有結合複合体の形成機構と機能の研究
Project/Area Number |
17370041
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 Aichi Medical University, 分子医科学研究所, 名誉教授 (10022641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卓 麗聖 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助教 (00399031)
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Keywords | ヒアルロン酸 / SHAP / 炎症 / インターα-トリプシンインピビター / 複合体形成酵素因子 / ビクニン / サイトカイン / 補体 |
Research Abstract |
平成18年度に動物実験施設の大規模な病原菌多重感染のため、延期を余儀なくされたマウス炎症モデルの実験を、今回行い、以下の成果を得た。1.D-ガラクトサミン(GalN)/リポポリサッカライド(LPS)による急性肝障害モデルでは、生存率はビクニンノックアウト(KO)マウスが90%で、野生型の0〜20%に比べて明らかに高かった。血中TNF-aとALTの濃度が低く、肝細胞アポトーシスと炎症細胞浸潤も軽度で、血中SHAP-ヒアルロン酸(HA)複合体の濃度も低かった。SHAP-HA複合体はGalN/LPS性肝障害に促進的に働くことを示唆する。一方、ConA肝障害モデルでは、有意差がなかった。2.オゾンによる気道過敏性モデルでは、同様にKOマウスはより低い反応性を示した。HA受容体であるTLR4やCD44のKOマウスも低反応性であった。処理により肺胞液中にHA量の増加することも、SHAP-HA複合体形成の関与を示唆した。さらにSHAPがHA-CD44の相互作用と細胞接着を強化する活性を見出し、病態を説明する分子メガニズムと思われた。3.免疫複合体による肺損傷モデルでは、逆にKOマウスが敏感であった。肺胞液中の総蛋白質量とサイトカイン(TNFa,KC,MCP-1,MIP-2)及び補体成分C5aの量が野生型より多かった。また、IaIの補体経路の活性化(C5aの産生)への阻害活性を見出した。IaIとC3、C4との相互作用が免疫沈降で確認された。これらをもとにIaIのHCがC3、C4に結合し、プロテアーゼインヒビターであるIaIのビクニンがC5convertase活性を阻害する分子機構を想定した。それは、敗血症に対するIaIの保護作用に関連すると思われた。以上より、IaIは、器官や病態によって炎症を促進または抑制し、多彩な機能を果たしていることが分かった。
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Research Products
(4 results)