2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370044
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 昌幸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (40359477)
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Keywords | 酵素反応 / 遺伝子 / 核酸 / 癌 / 蛋白質 |
Research Abstract |
我々はこれまで機能のわからなかったTCL1オンコジンがAKTに結合しその活性化を促す「AKT活性化補助因子」であり、ヒトT細胞芽球性白血病発症の分子機構を明らかにした。これらの研究に基づき我々はAkt-TCL1複合体の構造と機能の解析を通してAKT活性を抑制するペプチド"Akt-in"を同定した。このペプチド阻害剤は、AKTに特異的に結合し、膜リン脂質PIP3の結合を抑制し、in VIVOて腫瘍細胞の増殖を抑制し、延命効果があることを示した(国際特許出願;2003-416556)。 我々は、AKT活性化補助因子TCL1の生理的な発現は免疫系細胞などの発生の初期の分化段階に限定していることに注目した。今回このTCL1の転写調節領域にあるAKTに結合する細胞内基質であるsteroid受容体性転写調節因子Nur77のDNA結合配列TCL1-NBREに注目しAKT活性のNegative Feed Back 制御機構の解明を進めた。本研究によりAKTの活性化補助因子であるTCL1の発現がAKTの活性化とNur77のリン酸化を介したnegative feedback機構により転写レベルで制御されて生体のホメオスターシスを制御していることを明らかにした。 この研究はステロイド受容体Nur77の初めての細胞死の制御にかかわる分子標的を明らかにするものである。このAKT活性化補助因子であるTCL1オンコジンが胚芽細胞、免疫系細胞などのきわめて初期の分化段階細胞外からの刺激伝達経路が十分に発達していないこれらの極めて早期の胚芽細胞において細胞を庇護することにより細胞死から守り、発生初期段階でのES細胞の分化と成熟を助ける分子機構を明らかにした。「AKT活性化補助因子」であるTCL1発現のnegative feed back制御機構の破綻は神経免疫系の癌の発症における重要性が示唆される。
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Research Products
(3 results)