2005 Fiscal Year Annual Research Report
多細胞動物の成立におけるチロシンキナーゼの役割に関する研究
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17370048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
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Keywords | リン酸化 / チロシンキナーゼ / Src / 海綿 / 立襟鞭毛虫 / 線虫 |
Research Abstract |
本研究は、多細胞動物の成立におけるSrcチロシンリンキナーゼの本質的な存在意義を明らかするために、単細胞原生生物から多細胞動物に進化する過程に注目して、その過程におけるSrcの機能的変化を解明することを目的とする。これまでに、Srcとその制御因子Cskが最も原始的な多細胞動物(海綿)のみならず、最も動物に近い単細胞原生生物(立襟鞭毛虫)にも存在することを見出しているが、それらの実際の機能を明らかにすることを目的として以下の解析を行った。1)立襟鞭毛虫の培養法および遺伝子導入法の確立。リポフェクション法、リン酸化カルシウム法などの高等動物細胞への遺伝子導入法が、立襟鞭毛虫には適用出来ないことが明らかとなった。しかしながら、小さな蛍光ビーズを貪食出来ることが見出され、その貪食作用を利用した遺伝子などの導入条件を今後検討することにした。一方で、これまでに見出している細胞間相互作用におけるSrcの意義を検討するために、Src阻害剤PP2作用の至適条件を決定した。2)立襟鞭毛虫におけるSrc標的蛋白質を同定するために、チロシンリン酸化蛋白質の検出を行った。その結果、多くの蛋白質がSrc阻害剤によってリン酸化が減少することから、立襟鞭毛虫においてもSrcが最も主要なチロシンキナーゼであることが明らかとなった。その個々の蛋白質を、現在進められているゲノム解析と平行して同定する準備を進めている。3)立襟鞭毛虫に発現している他のがん遺伝子由来のシグナル分子としてRasに注目し、そのcDNAの単離に成功した。4)他の生物との比較を目的として、哺乳動物および線虫のSrcの機能解析を行った。哺乳動物ではSrcが受容体のエンドサイトーシスの制御で重要なこと、線虫においてはSRC-1が細胞の移動の方向性の制御において必須の役割を担うことを明らかにした。
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Research Products
(4 results)