2006 Fiscal Year Annual Research Report
多細胞動物の成立におけるチロシンキナーゼの役割に関する研究
Project/Area Number |
17370048
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
|
Keywords | リン酸化 / チロシンキナーゼ / Src / 海綿 / 立襟鞭毛虫 |
Research Abstract |
本研究は、多細胞動物の成立におけるSrcチロシンリンキナーゼの本質的な存在意義を明らかするために、単細胞原生生物から多細胞動物に進化する過程に注目して、その過程におけるSrcの機能的変化を解明することを目的とする。これまでに、Srcとその制御因子Cskが最も原始的な多細胞動物(海綿)のみならず、最も動物に近い単細胞原生生物(立襟鞭毛虫)にも存在することを見出しているが、それらの実際の機能を明らかにすることを目的として以下の解析を行った。1)立襟鞭毛虫のSrcおよびCskの機能解析を培養動物細胞の系を用いて行い、立襟鞭毛虫SrcのCskによる制御系が高等動物と比して未発達であることを見出し報告した。遺伝子導入によるSrcの機能解析を目的として様々な導入法を試みたが、いずれも強い貪食作用によりリソソーム様の小胞に取り込まれてしまうために遺伝子発現が困難であることが判明した。薬剤による機能解析を平行して進め、Src阻害剤PP2により細胞間相互作用が促進される現象を見出し、そのメカニズム解析のために走査電顕による詳細な形態変化の解析を行った。2)立襟鞭毛虫におけるSrc標的蛋白質を同定するために、チロシンリン酸化蛋白質の検出を行った。その結果、多くの蛋白質がSrc阻害剤によってリン酸化が減少することから、立襟鞭毛虫においてもSrcが最も主要なチロシンキナーゼであることが明らかとなった。その個々の蛋白質を同定する準備を進めた。3)多細胞動物との比較を目的として、線虫のSrcおよびCskの機能解析を行った。SRC-1およびCSK-1の変異体を用いた解析より、SRC-1が低分子量Gタンパク質の活性をコントロールすることによって、細胞移動の方向性および細胞骨格系の極性の制御において必須の役割を担うことを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)