2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑島 邦博 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (70091444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槙 亙介 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (30361570)
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Keywords | 水分子シャペロン / シャペロニン / X線溶液散乱 / アロステリック転移 / フォールディング / ATP結合 |
Research Abstract |
シャペロニンは,分子シャペロンの代表として細菌から高等生物に至るまで普遍的に存在し,蛋白質の細胞内フォールディングのために特化した蛋白質分子機械として働いている。シャペロニンは分子量約6万の蛋白質分子が14個から18個会合した二重リング構造を取っており,リング内に形成される直径約80Åのキャビティ内に標的蛋白質が閉じこめられて構造形成する。シャペロニンのこの驚嘆すべき作用にはATP結合によるアロステリックな構造転移とATP加水分解などが必要とされるが,その分子機構の詳細はまだ全く不明である。本研究の目的とするところは,熱量計などによる熱力学的測定とストップトフロー法による速度論的測定を駆使して,シャペロニンの作用の分子機構を物理化学的立場から定量的に明らかにすることである。以下の成果が得られた。 昨年度までの研究成果によりGroEL上に第二のATP結合部位のあることが強く示唆されている。そこで,蛋白質分子表面の形状と静電ポテンシャルの類似性検索を行い,GroEL頂上ドメインの残基250から280の領域にある凹みが第2の結合部位である可能性が高いことがわかった。この領域のAla251,Ala258,Ala175などのアラニンをよりかさ高いロイシンやイソロイシン変えて凹みを塞いだ変異体を作成し,変異体のATP結合特性を調べた。具体的には,GroEL-Y485W変異体およびその単一リング変異体(GroEL-SR1-Y485W)に上記の変異を導入し,これらの変異体のATPによるアロステリック転移の速度過程をストップトフロー蛍光法により調べた。その結果,いずれの変異体において転移の速度定数のATP濃度依存性プロフィールが大きく変化した。特に,三重変異(A251L+A258L+A275I)の導入によりATP濃度依存性プロフィールの二つめの相が消失し,変異導入部位に第二のATP結合部位が存在することが示された。
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Research Products
(7 results)