2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内で起こるヒトカルシトニンアミロイド線維形成の分子機構
Project/Area Number |
17370054
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
内藤 晶 Yokohama National University, 大学院・工学研究院, 教授 (80172245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 出 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 研究教員 (20452047)
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Keywords | ヒトカルシトニン / グルカゴン / アミロイド線維 / 脂質2分子膜 / クルクミン / 固体高分解能NMR / 電子顕微鏡 / 線維形成組害 |
Research Abstract |
カルシトニンはアルツハイマー病に見られるアミロイド繊維を形成するタンパク質と認識されている。このカルシトニンの線維形成現象を解明するため、固体高分解能NMRの手法を用いて線維形成と反応速度、線維の二次構造決定を行い、線維形成の分子機構を明らかにする研究を行った。さらに、細胞内の条件に近づけるため、脂質二分子膜の存在下で起こる線維形成の分子機構を明らかにする研究を行った。 リン脂質二重膜に再構成したグルカゴンの線維形成の測定を固体高分解NMRと電子顕微鏡を用いて測定した。電子顕微鏡測定を行った結果、グルカゴンのアミロイド線維は脂質二分子膜を起点として成長している様子が観測された。また、固体高分解NMRの測定から、脂質二重膜中で成長した線維は水溶液中で成長した線維と比べて構造に違いのあることが判明した。さらに、一方、線維の核形成速度は水溶液中に比べて脂質2重膜存在下の方が速く、線維成長速度は遅くなることが判明した。 ヒトカルシトニンの線維形機構を明らかにするため、ヒトカルシトニンについてPhe-16とPhe-19をLeuに置き換えた変異体について、線維形成速度を測定した。この結果、Phe-16あるいはPhe-19をLeuに変えた場合いずれも線維成長速度は100倍程度遅くなった、この事実はヒトカルシトニンの線維成長に分子間のPhe同士の相互作用が重要であることを示している。 ヒトカルシトニンの線維形成阻害に関していくつかの阻害剤を検討した。この結果、電荷を側鎖に持つアミノ酸は核形成を阻害することが明らかになった。この結果はアミノ酸がヒトカルシトニンに弱く相互作用しており、結合寿命は短いことを意味している。一方ポリフェノールのクルクミンは0.5当量添加しても強い線維形成阻害作用を示した。この結果、クルクミンはヒトカルシトニンと強い相互作用をもち線維形成阻害をすることが明らかになった。
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Research Products
(18 results)