2005 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームRNA遺伝子における増幅誘導配列(EXP)の機能解析
Project/Area Number |
17370065
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
小林 武彦 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 助教授 (40270475)
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Keywords | 遺伝学 / ゲノム / 遺伝子増幅 / ゲノムの安定性 / noncoding RNA / 組換え / コヒーシン / 姉妹染色分体 |
Research Abstract |
リボソームRNAをコードする遺伝子rDNAは細菌からヒトの細胞に至まで多コピーで存在し、特に真核細胞では染色体上に巨大反復遺伝子群を形成している。通常反復遺伝子はリピート間の組み換えによりコピー数が減少していくが、rDNAにはコピー数維持機構が存在し、そのコピー数が一定に保たれている。コピー数維持機構の一つは遺伝子増幅作用で、リピート間での組み換えにより抜け落ちたコピー数を元に戻す働きがある。報告者らのこれまでの研究で複製阻害タンパク質Fob1が増幅に必須な配列(EXP)に特異的に結合し、そこでDNAの複製を止めることで増幅に必要な組み換えを誘導していることが解明された。本研究に於いては、EXPにおける増幅組み換え誘導の分子メカニズムの解明を目指す。本年度の研究成果としては、EXPのFob1結合部位以外の残りの約5分の4の領域に存在するcoding領域を持たない転写開始点の機能について解析し、1)その転写開始点(E-proと命名)は進化的に保存されていること、2)E-proからの転写活性が、増幅組み換えに必須であること、3)このプロモーターは双方向性であり、どちらか一方の転写活性が阻害されると増幅誘導ができないこと、4)転写活性が染色分体接着因子コヒーシンを解離させ、不等価姉妹染色分体間組み換えを誘導することで増幅を誘導していること、を解明した。また、E-proの転写制御については、E-proの転写は、5)コピー数が減少すると活性化すること、6)サイレンシングタンパク質であるSir2により制御されていること、が判明した。Sir2の活性は栄養状態により影響を受けることが知られており、rDNAは状況応じてそのコピー数をダイナミックに変化させていることが判明した。
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Research Products
(3 results)