2005 Fiscal Year Annual Research Report
コフィリン脱リン酸化/再活性化の調節を介する上皮細胞とニューロンのダイナミクス
Project/Area Number |
17370069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上村 匡 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (80213396)
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Keywords | コフィリン / アクチン / 上皮 / 神経突起 / マウス |
Research Abstract |
Actin depolymerizing factor(ADF)/コフィリン(以下コフィリンと総称する)の時間的・空間的な活性は、LIMキナーゼ(LIMK)などによるリン酸化/不活性化と、フォスファターゼSlingshot(SSH)による脱リン酸化/再活性化により調節されている。ヒトとマウスのゲノムには3つのssh遺伝子が存在する。組織別発現を内在タンパク質のレベルで解析した結果、神経系や上皮ではそれぞれSSH2LとSSH3Lが強く発現していることを明らかにした。従って神経系ではSSH-2Lが、上皮においてはSSH-3LがADF/コフィリンの脱リン酸化・再活性化に中心的な役割を果たすことが推測された。上皮細胞でのSSH-3Lの役割を検討する目的で、上皮由来のMDCK細胞などを用いて、薬剤添加によりssh-3L遺伝子のノックダウンが誘導されるクローン、または過剰発現されるクローンを分離した。ssh-3L遺伝子をノックダウンした時、頂端部-基底部軸に沿った細胞極性や細胞間結合構造の形成や維持において、異常が生じないか詳細に検討している。さらに樹立した細胞株を出発点として、SSH-1Lを恒常的にノックダウンする系統を作製中である。また、SSH-3Lの構造-機能解析を進め、フォスファターゼ活性に対して抑制的に作用する可能性のあるドメインを発見した。そのドメインに結合する分子を探索し、候補分子についてSSH-3Lのフォスファターゼ活性に与える影響を検討している。神経系で強く発現しているSSH-2Lについては、遺伝子発現をノックダウンできるプラスミドを作製し、電気穿孔法により子宮内胎仔大脳皮質に導入した。導入後、複数の発生段階で神経細胞の移動を検討したが、顕著な表現型は検出できなかった。
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