2008 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体内におけるシグナリング制御機構と中枢神経組織発生
Project/Area Number |
17370074
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 朗仁 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特任准教授 (50244083)
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Keywords | Wnt / FGF / Shisa / 小胞体 |
Research Abstract |
本申請研究は、Xenopus原腸胚から同定した「Wnt及びFGFシグナルを特異的に抑制することで、頭部形成を制御する新規小胞体分子Shisa」のシグナル制御機構の解析と、Shisaの新しい標的分子の探索を主たる研究課題としている。 本年度は、Shisaが未分化で悪性形質の高い腫瘍細胞株に強い発現を示すことを報告した。さらに、重要な研究成果として、癌転移形質を示さない腫瘍細胞株にShisaを過剰発現させると癌転移形質が亢進することを見いだした。一方、神経堤由来の悪性腫瘍細胞株におけるShisa機能抑制は癌転移能を著しく抑制した。Shisaは小胞体局在型および細胞外分泌型の二つの細胞内局在を示す。小胞体に局在できないShisa変異体は癌転移能に影響を与えなかった。これらの解析結果は、小胞体内においてShisaが癌転移形質の制御因子として機能することを示している。今後、腫瘍細胞の転移形質制御におけるShisaの標的分子解明が重要な課題であると考える。 Shisaは小胞体内に局在することで様々なシグナル制御に機能すると考えられる。これまでにShisaの小胞体局在化に不可欠な10アミノ酸を同定している。この10アミノ酸を欠失したShisa変異体は、Wnt・FGFシグナル制御や癌転移制御において正常型Shisaの機能抑制型変異体として機能することを見いだしている。この10アミノ酸と複合体を形成する複数の小胞体分子の同定と機能解析が終了しており、論文投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)