2005 Fiscal Year Annual Research Report
受精タイミング補正装置として働く減数分裂中期休止機構
Project/Area Number |
17370079
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
千葉 和義 お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 教授 (70222130)
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Keywords | 細胞・組織 / 生体分子 / 動物 / 発生・分化 |
Research Abstract |
多くの動物の卵母細胞は、受精を待つかのように、減数分裂を休止する。正常発生するためには、この休止時期に受精することが必須となる。すなわち、正常発生を保証する受精タイミング補正装置として減数分裂の休止は役立っており、本研究ではその分子機構を明らかにする。そのために、ヒトデ卵母細胞第1分裂中期(MI)休止を取り上げ、1)Mos/MEK/MAPKカスケードによる、サイクリンB分解の阻害機構、2)細胞内pH(pHi)上昇の分子機構、3)pHi上昇によって活性化される脱リン酸化酵素とその基質、を明らかにする。 上記目標の内、2)では、ヒトデNa^+/H^+アンチポーターC末の塩基配列にSGK1(Serum-and glucocorticoid-inducible kinase 1)リン酸化配列と、SGK1の足場領域(PDZ protein interaction module)が存在することが明らかになっている。SGKがNHEをリン酸化するかどうかについては引き続き検討中である。一方、ヒトデNa^+/H^+アンチポーターC末には、MAPキナーゼ(ERK)依存的にリン酸化される領域があることが明らかになった。実際、ホルモン未処理卵においてMosをマイクロインジェクションして、ERKを活性化させると、細胞内pHが上昇する。さらに成熟卵におけるNa^+/H^+アンチポーターの活性化の阻害は、ERKを阻害することで実現できた。すなわち、ホルモン1-メチルアデニンによる減数分裂再開過程で活性化されるMAPキナーゼカスケードによって、ヒトデNa^+/H^+アンチポーターはリン酸化され活性化されることが明らかになった。
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