2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370080
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
荒木 正介 Nara Women's University, 理学部, 教授 (00118449)
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Keywords | 網膜再生 / イモリ / アフリカツメガエル / 分化転換 / 色素上皮細胞 / FGFシグナル / ゲル器官培養 / トランスジェニックツメガエル |
Research Abstract |
両生類網膜再生の分子・細胞機構について、イモリとアフリカツメガエルを用い、比較研究をおこなった。以下の項目に関して研究を実施し、成果を得た。 (1)新規に開発した、網膜の層構造再生を可能とする器官培養系を用いて、色素上皮細胞の分化転換の初期過程を解析した。とくに、再生初期に発現するPax6の動態と再生因子FGF2に対する反応性を調べることによって、分化転換の初期状態をいくつかの段階に区別することができた。さらに、細胞外基質(基底膜)成分の違いが、この初期段階の進行に影響することがわかり、基質相互作用が分化転換の重要な要因であると言える。従って、外部シグナルとして、シグナル分子FGF2と細胞外基質、とくにラミニンの両者が細胞内シグナル伝達系に影響する事が明らかになった。(2)これまでの研究で、FGF2が再生シグナルであると考えられているが、実際の再生過程における分子動態は不明である。イモリFGF2に対する特異抗体を用いて、眼の中の再生過程、とくに再生初期過程を詳細に調べた。脈絡膜静脈洞中に血球が多量に停留する事やそこにFGF2が多量に存在する事を明らかにした。これによって、再生因子としてのFGF2の由来が推定できたので、今後、色素上皮細胞への作用機序を解明することが重要となった。(3)アフリカツメガエルのRx promotor-EGFPおよびPax6 promotor-EGFPトランスジェニック個体を作製し、promotor活性が正しく制御されている事を確認した。まず、Rx promotorトランスジェニック個体を用い、再生過程をin vitroで解析した。その結果、分化転換の初期段階でオンになり、これがFGF2依存的であることがわかった。これまで両生類トランスジェニック個体を網膜再生研究に用いた研究はなく、今後、F1世代の確立によって、よりいっそうの成果が見込まれる。
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Research Products
(9 results)