2007 Fiscal Year Annual Research Report
TFL1/FTファミリー遺伝子による花成制御機構の研究
Project/Area Number |
17370085
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Research Institution | Research Institute for Biological Sciences, Okayama |
Principal Investigator |
後藤 弘爾 Research Institute for Biological Science Okayama, 遺伝子工学部門, 専門研究員 (00251489)
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Keywords | 植物 / 分子遺伝学 / 発生 / 花成 / 細胞間相互作用 / 細胞間移動 / フロリゲン / 日周期 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の研究結果をふまえて、シロイヌナズナのFT遺伝子をタバコで構成的に発現させることにより、早咲きになったタバコ(35S::FT/SR1)を用いて接ぎ木実験をおこなった。35S::FT/SR1の台木に野生型のタバコを接ぎ本する(穂木)と、穂木の花成が著しく促進された。さらにこの結果は、(短日条件下でのみ花成が起きる)短日性タバコを穂木に用いた実験で顕著に示された。即ち、長日条件下で、野生型株を台木として使用すると全く花成が起こらなかったのに対し、35S::FT/SR1を台木に用いると、速やかな花成誘導が観察された。 この様に、接ぎ木面を透過し台木から穂木へ花成シグナルを伝達する物質が、FTのRNAであるか、タンパク質であるかを確かめた。穂木の抽出液からは、FTタンパク質は台木の約1/100程度の量が検出されたのに対し、FTのRNAは検出感度の限界である、台木の一億分の一以下の量しか存在しないことを明らかにした。さらにこのことを確認するため、RNA干渉法によりアラビドプシスのFT由来のRNAを特異的に分解するようにした穂木を用いて、接ぎ木実験を行った。その結果、この様な操作を行った穂木に対しても同様な花成促進がみられた。 以上の結果から、接ぎ木面を透過し、システミックに葉から茎頂に活性シグナルを伝達する物質(フロリゲン)は、FTタンパク質自身であり、RNAではないことが確認できた。
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Research Products
(8 results)