2005 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方にアイヌの足跡を辿る-発掘人骨の形態学的・遺伝学的研究-
Project/Area Number |
17370089
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50000146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70209617)
安達 登 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60282125)
瀧川 渉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90323005)
川久保 善智 鳥取大学, 医学部, 助手 (80379619)
坂上 和弘 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70333789)
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Keywords | 人類学 / 古人骨 / 東北地方北部 / 歴史時代 / 古墳時代 / アイヌ / 和人 / 蝦夷 |
Research Abstract |
1.研究実施状況: (1)東北地方北部江戸時代人35例、府内江戸時代人77例、東北地方現代人83例、関東地方現代人51例、北海道アイヌ68例の頭蓋計測を行った。 (2)東北地方北部江戸時代人頭蓋86例の形態小変異および歯の計測的・非計測的データを採取した。 (3)東北地方北部江戸時代人50例の四肢骨計測データを採取した。 (4)青森県畑内遺跡出土の江戸時代人骨41体よりDNAの抽出を行った。 (5)青森県下北半島浜尻屋遺跡から出土した中世小児人骨1体の詳細な形態学的分析を行った。 2.研究成果: (1)青森県下北半島の浜尻屋貝塚にて発見された中世人骨は6〜7歳の小児であったが、永久歯の計測的特徴、および乳歯・永久歯の非計測的特徴から判断すると、この人骨がアイヌに帰属すると考えて大過ないことが判明した。考古学的所見もこの結論を支持した。 (2)東北地方江戸時代人頭蓋の計測値に対して北海道アイヌと府内江戸時代人を標的とした判別関数を適用すると、大間崎、上野31、岩屋B5、および下北人骨の4例が、北海道のアイヌに判別された。 (3)頭蓋の非計測的特徴から判断すると北東北の江戸時代人と近代人は北海道アイヌ、特に北海道南西部のアイヌに近いことが示された。このことから東北地方北部は本州の中では和人の遺伝的影響が最も遅くなった地域であると推測された。 (4)歯の計測的・非計測的特徴は、東北地方北部にはアイヌ的特徴と和人的特徴がモザイク状に入り組んでいる可能性が示唆された。 (5)青森県畑内遺跡人骨34個体についてDNAの抽出・解析に成功した。ミトコンドリアDNAの分析ではアイヌと共通する塩基配列もみられたが、この配列は和人集団にも同様に認められるので、今回の結果のみで畑内遺跡人骨とアイヌの系統関係を論じることはできなかった。
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Research Products
(6 results)