2005 Fiscal Year Annual Research Report
NMR法による砂漠化に適応した作物の耐性機構の解析
Project/Area Number |
17380013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 眞理 九州大学, 農学研究院, 教授 (60091394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 紹輝 佐賀大学, 海浜台地生物環境研究センター, 助教授 (90253517)
島崎 研一郎 九州大学, 理学研究院, 教授 (00124347)
湯淺 高志 九州大学, 農学研究院, 助教授 (40312269)
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Keywords | 乾燥耐性 / ササゲ / NMR緩和時間 / 蒸散速度 / 水蒸気コンダクタンス / 砂漠化 / トレハロース |
Research Abstract |
アフリカ地域を初めとした砂漠化現象は、世界人口の増大に伴う食糧危機にも関連した深刻な問題となっている。乾燥・半乾燥地域において多く栽培されているササゲ(Vigna unguiculata L.)は、他の作物と比較し、耐暑性・乾燥耐性ともに優れていることが知られている。本研究では、乾燥耐性の異なるササゲの2系統を用い、主として^1H-NMRおよび光合成関連パラメータによる乾燥耐性の検討を行った。 乾燥耐性の異なるササゲ2系統(Tvu7778<IT99K-241-2)、ニジェール産を供試し、水田土壌を充填した容量約5lのプラスチックポットに植え付け、大学圃場において栽培を行った。播種後21日目より7日間潅水を停止する方法により水ストレスを与えた。処理終了後はストレスからの回復度合いを観察するため、再び潅水を行った。 土壌含水率の低下に伴い、ササゲ2系統の葉の蒸散速度、水蒸気コンダクタンスおよび光合成速度はストレス処理開始後3日目に顕著な低下がみられた。この乾燥初期における急速な反応により、蒸散による水分のロスを最小限に抑えることが可能になったと考えられる。一方、含水率およびスピン-スピン緩和時間(T_2値)は、ストレスが進行するにつれて上昇し、光合成関連パラメータとは逆の傾向がみられた。乾燥ストレス後、再潅水を行った後の測定では、乾燥処理によって変化したパラメータはすべてコントロール区と同程度まで回復していた。潅水後の速やかな回復により、7日間の乾燥処理は光合成関連および水分関連のパラメータを示す各因子に致命的な影響を与えなかったと考えられた。葉においては、乾燥耐性系統(IT99K-241-2)と耐性の低い系統(Tvu7778)間の系統間差を観察することはできなかった。しかし、茎部では、含水率およびスピン-スピン緩和時間(T_2値)は乾燥処理によって非耐性系統において減少していた。このことは、非耐性系統における薬部の水分パラメータの変化は、植物体内において茎から葉へ水の移動が行われたためであることが示唆された。一方、耐性系統では、茎部で大きな変化はみられず、耐性系統における水分パラメータの変化は、ポット内の土壌水分の吸収に起因することが推測された(Egashira et al.執筆中)。 葉や茎以外にも、花弁や種子の乾燥ストレスに対する水の動態に関する研究を行い3編を発表した(2005年)。
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Research Products
(3 results)