2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による果実の細胞壁分解機構の解析と形質転換による鍵因子の決定
Project/Area Number |
17380024
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保 康隆 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80167387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 昭次 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90046491)
牛島 幸一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (20379720)
|
Keywords | 果実軟化 / プロテオーム解析 / 細胞壁 / エチレン / 1-MCP |
Research Abstract |
細胞壁は、植物の物理的特性の源であり、果実の肉質と微生物侵入(腐敗)への抵抗性を決定している。したがって、細胞壁分解は果実の食味と日持ち性の支配的因子である。これまでの研究で果実の成熟・軟化にエチレンが重要であることは示されたものの、実際の細胞壁分解における鍵因子は未だに解明されていない。そこで、本研究では、セイヨウナシ成熟果実から細胞壁で特異的に発現するタンパク質を抽出し、二次元電気泳動と質量分析装置を用いたプロテオーム解析によって網羅的に解析した。 その結果、セイヨウナシ果実細胞壁で発現している約500のタンパク質を分離することに成功し、果実軟化の前後で29個のタンパク質スポットが大きく変化することが明らかになった。現在、成熟・軟化特異的に発現が変化するタンパク質の質量分析を進めている。さらに、より広範に細胞壁関連遺伝子を解析するためにインベルターゼ欠損酵母を用いた遺伝子クローニング法(YSST法)を活用して、細胞壁関連遺伝子断片をクローニングした。その結果、数百のポジティブクローンが得られ、その塩基配列およびアミノ酸配列を調査した。 その結果、大部分のクローンは細胞外分泌シグナルペプタイドをもつ遺伝子であることが示された。さらに、多数のクローンについて配列情報を解析すると共に、エチレン作用阻害剤1-MCP処理果実、軟化特性の異なる三種のナシ品種の果実について、マクロアレイ解析法を用いて遺伝子発現パターンの調査を進める予定である。 また、メロン果実でも軟化関連遺伝子の発現解析を行ったところ、ポリガラクチュロナーゼ遺伝子発現と軟化様相に強い相関が認められた。そこで、RNA interference法を用いて、同遺伝子が抑制された形質転換体の作成を進めている。
|
Research Products
(2 results)