2005 Fiscal Year Annual Research Report
RNAサイレンシングによるイネいもち病菌のゲノムワイドな病原性遺伝子解析
Project/Area Number |
17380030
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中屋敷 均 神戸大学, 農学部, 助教授 (50252804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞山 滋志 神戸大学, 農学部, 教授 (00112251)
土佐 幸雄 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (20172158)
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Keywords | RNAサイレンシング / RNAi / イネいもち病菌 / ポストゲノム / 病原性遺伝子 |
Research Abstract |
イネいもち病は、我が国の重要穀物であるイネの最重要病害であるが、これを引き起こす病原糸状菌Magnaportheoryzaeは、その経済的重要性から植物病原糸状菌としては初めて全ゲノムが決定された。この豊富な遺伝情報を生物学的に意味のある遺伝子機能の解明につなげるための手法として、本研究ではRNAサイレンシングの本菌への適用を試みている。 ヘアピン型のRNAをいもち病菌内で発現させ、RNAサイレンシングを誘導するための汎用型ベクターpSilent-1を構築した(Nakayashiki et al.,FGB,2005)。このベクターは、二つのマルチクローニング部位の間にイントロン配列が配置されており、抗生物質耐性遺伝子カセットを保有しているため、制限酵素サイトを付与したプライマーを用いてPCRを行い、逆方向に二度対象遺伝子断片を挿入することで、サイレンシングコンストラクトが構築できる。このベクターにより、モデル遺伝子であるGFP、また内在性遺伝子のMpg1,PKSなどのサイレンシングを試みたが、どの遺伝子においてもおよそ80%程度の形質転換体でターゲット遺伝子のサイレンシングの誘導が見られた。サイレンシングの程度は、形質転換体によって異なり、ほぼ完全なサイレンシング株は全体の10〜15%であった。 このようにpSilent-1は有効なサイレンシングベクターであることが示されたが、ゲノムワイドな解析をするには二度のクローニングに労力がかかるため適用が困難である。そこで二つの向き合うプロモーターの間に対象遺伝子断片を挿入することにより、一回のクローニングによりサイレンシングコンストラクトの作製が可能な、pSilent-Dualの構築を試みた。その結果、pSilent-Dualによってダイサー蛋白質依存的に遺伝子サイレンシングが起こることが示された。しかし、その効率はpSilent-1より著しく低く、今後このサイレンシング効率の改良が実用に向けての課題である。
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Research Products
(5 results)