2006 Fiscal Year Annual Research Report
重イオンマイクロビーム利用による昆虫の生体損傷修復機構の解析
Project/Area Number |
17380036
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
木口 憲爾 信州大学, 繊維学部, 教授 (50262697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 孝治 信州大学, 繊維学部, 助手 (00293499)
小林 泰彦 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, グループリーダー (50354957)
志田 敏夫 信州大学, 繊維学部, 助教授 (40162599)
佐藤 茂 日本医科大学, 中央電子顕微鏡施設, 助手 (10125073)
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Keywords | カイコ / 重イオンマイクロビーム / 放射線障害 / 障害修復 / バイスタンダー効果 / 造血器官 / 再生 |
Research Abstract |
カイコ幼虫の造血器官に重イオンを照射すると一度崩壊した後、高い確率で再生する。この再生に関わる細胞としては、照射を免れた血球前駆細胞、もしくは体液中の循環血球のどちらか、またはその両方であると考えられる。本研究では、昨年度に引き続き、重イオン照射造血器官の再生に体液中の血球が関与するか否か検討を行った。本年度は、実際にトランスジェニックカイコ(GAL4/UAS)を用いた移植実験を行った。 重イオン照射後の非組み換えカイコの造血器官をGAL4/UAS体内に移植し、再生した造血器官内部の血球を調査したところ、再生した非組み換えカイコ由来の造血器官内部の血球にGFPの蛍光が観察された。そこで組織切片を作製し、抗GFP抗体で染色すると、造血器官内部の血球が強く反応した。これらの結果は、重イオン照射造血器官の再生にGAL/UAS由来である体液中の血球が関与することを強く示唆する。 次に、4齢脱皮直後の幼虫造血器官に重イオンビームを照射し、再生過程を電子顕微鏡で観察した。その結果、幼虫への照射ステージをこれまでの研究より64時間早めたにもかかわらず、器官の崩壊や再生が認められる発育ステージに大きな違いが認められなかった。すなわち、造血器官の再生は照射後の経過時間ではなく、幼虫の発育ステージが大きく関与すると可能性が示された。 最後に、造血器官の崩壊と再生の各ステージに特異的な分子マーカーを得るため、照射後24時間ごとに造血器官(+翅原基)を採取し、2次元電気泳動により、含まれるタンパク質成分を分析した。しかし、照射区と非照射区のサンプル間にほとんど大きな違いは認められなかった。その中で照射造血器官の崩壊期に特異的に増加する2つの成分を確認した。これらの成分を回収後、トリプシンで消化し、得られたペプチドをペプチドーマスーマッピング法で特定した。
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Research Products
(2 results)