2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江澤 辰広 北海道大学, 大学院農学研究院, 助教授 (40273213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久我 ゆかり 信州大学, 農学部, 助教授 (30232747)
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / 共生 / リン酸 / ポリリン酸 / オルガネラ / 耐酸性 |
Research Abstract |
アーバスキュラー菌根菌におけるリン酸輸送メカニズムを明らかにするために、リン酸輸送に関与するポリリン酸合成活性の酵素学的特性とリン酸輸送速度の解析を行った。 1.ポリリン酸合成活性の特性解析 菌糸内では土壌から吸収したリン酸からポリリン酸を合成し、オルガネラ(未知)中に蓄積していると考えられる。本年度は、大量に集めた外生(根外)菌糸からポリリン酸合成活性を有する画分の純度を検討すると共に、この活性の酵素学的特性を調べた。マリーゴールドを宿主として培養した菌根菌の外生菌糸1,000-1,500mgを収穫後、直ちに氷冷した乳鉢上で磨砕し、Percoll連続密度勾配遠心により分画した。比重1.06-1.09gmL^<-1>の画分には、最も高いポリリン酸合成活性が認められたが、液胞型および原形質膜型H^+-ATPaseの活性は検出されなかったことから、液胞や原形質膜にポリリン酸合成活性が存在する可能性は少ないと考えられた。また、若干のチトクロームオキシダーゼ活性が認められたことから、ミトコンドリアの混入が予想された。電子顕微鏡観察もこれらのことを裏付けていた。液胞型および原形質膜型H^+-ATPaseの阻害剤、およびプロトノフォアは、ポリリン酸合成活性に影響を及ぼさなかったことから、プロトン勾配が本活性の駆動力とはなっておらず、ATPが直接の基質となりポリリン酸が合成されると結論された。 2.リン酸輸送速度解析 菌糸中をポリリン酸が移動する速度を測定する実験系を確立し、温度、pH、無機養分などの環境因子が、リン酸輸送速度に及ぼす影響を明らかにすることが目的である。今年度はポリリン酸と共に全リンおよびオルトリン酸を同時に測定し、i)取り込まれたリン酸はオルトリン酸として一時的に蓄えられることなく、直ちにポリリン酸合成に使われること、ii)菌根菌は一時的に全リンの80-90%に達するほど多量のポリリン酸を蓄積する潜在力を有していることなどを明らかにした。
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