2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌バクテリオシン探索のハイスループット化と発酵生産の総合システム化
Project/Area Number |
17380054
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
園元 謙二 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (10154717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 二郎 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (40217930)
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Keywords | バクテリオシン / 乳酸菌 / ナイシン / ラクトコッシンQ / ラクティシンQ / ナイシン配合手指用殺菌洗浄剤 / ハイスループットスクリーニング / スーパーバクテリオシン |
Research Abstract |
1.新奇バクテリオシンの発見 昨年度開発した、新奇バクテリオシンのハイスループットスクリーニングシステムを用いて、以下の新奇バクテリオシンを見出した。 (1)ラクトコッシンQ ラクトコッシンQは、2つのペプチド、α(39アミノ酸)とβ(35アミノ酸)から成るクラスIIbバクテリオシンで、生産株と同菌種のL.lactisのみにしか抗菌活性を示さず、抗菌スペクトルはきわめて限定的であった。化学合成したラクトコッシンQの2つのペプチド(Qα、Qβ)は単独では活性を示さず、αとβが共存した時にのみ相乗的に作用して抗菌活性を示した。また、各αとβの組み合わせによって活性に最大32倍の差が生じ、βペプチドの差異が活性に大きく影響することが明らかとなった。 (2)ラクティシンQ ナイシンは非常に優れたバクテリオシンであるが、一方では中性からアルカリ性域での低い安定性や広いながらも特徴的な抗菌スペクトルなどの欠点があり、これらはバクテリオシンの応用範囲を拡大する上での克服すべき課題となっている。我々が発見したL.lactos QU5が生産するラクティシンQ(53アミノ酸)は、クラスIIcに分類され、ナイシンに匹敵する強い抗菌活性とナイシンとはややパターンの異なる広い抗菌スペクトルを示した。また、ラクティシンQは、ナイシンをはじめとする他の乳酸菌バクテリオシンとは異なり、弱アルカリ領域でとくに高い安定性を示した。これは、これまでの乳酸菌バクテリオシンの常識を覆す特性であり、ラクティシンQはスーパーバクテリオシンとして大いに期待される。 2.ナイシン配合手指用殺菌洗浄剤の開発 既存殺菌成分である陽イオン界面活性剤を主剤、非イオン界面活性剤と両性界面活性剤を洗浄剤とした配合にナイシンを添加した。広範な抗菌スペクトル、および高い殺菌力を示し、市販品との比較では概ね優位性が認められた。
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Research Products
(7 results)