2005 Fiscal Year Annual Research Report
血菅新生に関与する中性セラミダーゼの構造と機能及びその阻害剤の開発に関する研究
Project/Area Number |
17380068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 信 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40253512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 秀治 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20203002)
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Keywords | セラミダーゼ / スフィンゴ脂質 / 血管新生 / セラミダーゼ阻害剤 / S1P受容体 / ゼブラフィッシュ / 初期発生 / 遺伝子ノックダウン |
Research Abstract |
セラミダーゼは生体内のセラミド、スフィンゴシン、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)量を調節することで細胞内のシグナル伝達系を制御する酵素である。本研究では、主として以下の2つの主題について研究を行った。 (1)中性セラミダーゼによる血管形成のメカニズムの解析 ゼブラフィッシュの中性セラミダーゼ(znCD)をアンチセンスモルフォリノオリゴにより特異的にノックダウンすると初期発生、特に血管系及び心臓の形成に顕著な異常を引き起こすことを見いだした。また、S1P受容体のノックダウン胚でも同様の表現型を示すことを見いだし、本酵素はS1P受容体を介したシグナル伝達系を制御し、血管や心臓の形成に重要な働きをしていることを明らかにした。また、血管内皮細胞に特異的なプロモーターを連結したGFPを発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを用いて血管内皮細胞の3次元的構築の時間経過を詳細に検討したところ、znCDノックダウン胚では血管内皮細胞の移動、秩序ある配列に顕著な異常を呈することを見いだした。 (2)中性セラミダーゼの阻害剤の開発 中性セラミダーゼの特異的阻害剤を天然物からスクリーニングし、ワカメメカブに強力な阻害効果を持つ低分子有機化合物(WM)を見いだした。乾燥ワカメメカブ10kgからほぼ均一なWMを単離し,その構造をNMRおよびMSで解析した。WMの酵素の阻害様式を詳細に検討したところ、ほ乳動物から細菌にいたる全ての中性セラミダーゼを強力に阻害すること、その阻害様式は競合阻害であることが明らかになった。その阻害比活性(モル当たりの阻害活性)は、現在、セラミダーゼの阻害剤として知られるD-MAPP,スフィンゴシン等を遥かに凌ぐ。セラミドに類似した化合物を化学合成し、セラミダーゼの阻害活性を測定したが、WMを凌ぐものは見いだせていない。
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Research Products
(6 results)