2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規メナキノン(ビタミンK)生合成経路に関する研究
Project/Area Number |
17380075
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
瀬戸 治男 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (10013335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須恵 雅之 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (10328544)
大利 徹 富山県立大学, 工学部, 助教授 (70264679)
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Keywords | メナキノン / ビタミンK / 突然変異株 / Streptomyces sp. CL190 / 生合成中間体 |
Research Abstract |
メナキノン(ビタミンK)は、人間にとっては血液凝固に必須のビタミンであり、また微生物では電子伝達系の成分として重要な役割を担っており、生命維持上必須の成分である。 我々は従来とは全く異なる新規メナキノン生合成経路が、ある種の細菌、例えばHelicobacter pyloriなどに存在することを見出した。これらの細菌には病原菌が含まれ、この経路の阻害剤は新しい作用機作を有する感染症治療薬となる可能性が高い。 平成18年度の研究により、我々は以下の成果をあげた。 1.トレーサー実験による詳細な新規経路出発物質の推定 新経路を有することが確立されている放線菌Streptomyces sp. CL190株を使用して、昨年度の成果に加えて以下の成果を得た。[2-^<13>C]、[3-^<13>C]、[4-^<13>C]、[5-^<13>C]、[6-^<13>C]グルコースを使用した標識実験により、詳細なグルコースからの取込パターンを決定した。 2.標識実験の結果予想された中間体を化学合成し、この化合物が新経路に欠損のある突然変異株の生育を回復することより、この予想中間体が真の中間体であることを確認した。 3.昨年度に同定した新規経路に関係する遺伝子の欠損株を調製し、それらが蓄積する中間体と思われる3種類の化合物を単離、構造を決定した。そのうちの1つの化合物は、ヌクレオシド類縁体であった。しかしこれら化合物の蓄積量が微量であったため、化学合成を試みその合成に成功した。これらを使用しての変換実験により、蓄積した化合物がメナキノンに変換されることを確認した。これらの結果より、新規経路の大半を解明できたと考えている。現在これら以外の変異株が蓄積する代謝産物について単離、精製を検討中である。
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