Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 朝臣 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50304770)
井上 晋 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (20038342)
智和 正明 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (30380554)
村上 拓彦 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (20332843)
高木 正博 宮崎大学, 農学部, 助教授 (70315357)
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Research Abstract |
平成17年度には,林相の異なる森林動態調査プロットを設置し,森林構造と水・物質・エネルギー循環のモニタリングを開始することとした. 落葉広葉樹天然林(北海道足寄町),常落混交広葉樹二次林(福岡県篠栗町),常緑広葉樹天然林(宮崎県田野町),針広混交天然林(宮崎県椎葉村),ヒノキ人工林(福岡県篠栗町),スギ人工林(熊本県鹿北町)に約1haの森林動態調査プロットを整備し,地形測量および毎木調査等の基礎調査を行った.また,田野演習林と福岡演習林には試験流域を整備し,水・物質・エネルギー循環の観測を行った.観測したデータの多くは現在解析中であるが,水循環における樹液流-蒸散の関係と,物質循環における窒素の動態に関して新たな知見を得た. 日本のような複雑地形では,複数の単木樹液流量を計測し,林分蒸散量にスケールアップする方法が有用である.ただし,スギ林の場合,(1)樹液流量の個体差が大きいため,12本のサンプルでも十分でないこと,(2)樹幹断面内の樹液流量分布の計測は,6本程度のサンプルで十分であることが明らかにされた.また,スギ人工林流域の異なる斜面部位で単木樹液流量および林分蒸散量を測定した結果,(1)単木樹液流量は,谷近傍の方が尾根近傍に比較して多いが,(2)林分蒸散量にスケールアップすると部位間の差が小さくなることが明らかにされた. 都市近郊の御手水流域試験では,(1)大気からの窒素負荷量が多く,樹冠通過後に林内に到達する無機態窒素は14.1kg Nha^<-1> yr^<-1>に達すること,(2)この無機態窒素のうち,8.9kg Nha^<-1> yr^<-1>が流域から流出し,5.2kg Nha^<-1>yr^<-1>が流域内で消費されていること,(3)溶存無機態窒素流出量の98%がNO_3^-で占められていることを反映し,有機態窒素流出に比較して溶存無機態窒素流出量の方が多いことが明らかにされた.
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