2005 Fiscal Year Annual Research Report
人為的干渉による湿原からハンノキ林への移行メカニズムの解明
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17380100
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Research Institution | Sapporo School of the Arts |
Principal Investigator |
矢部 和夫 札幌市立高等専門学校, インダストリアルデザイン学科, 助教授 (80290683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆俊 東京農業大学, 生物産業学部, 講師
山田 浩之 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10374620)
浦野 慎一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40096780)
植村 滋 北海道大学, 北方圏フィールド科学センター, 助教授 (80250497)
石川 幸男 専修大学北海道短期大学, 園芸緑地科, 教授 (80193291)
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Keywords | 湿原保全 / ハンノキ林化 / 水理解析 / 水文化学環境 / 直接傾度分析 / 実生定着実験 / 年輪解析 / 土壌呼吸 |
Research Abstract |
築堤に直交するAライン(温根内地区)、Bライン(中間)、Cライン(安原地区)とGライン(広里地区)を設置した。 群落の分布と環境:ハンノキ優占群落は4型に分かれ、2型のヨシ-スゲ群落(fen)と2型のスゲ-ミズゴケ群落(bog)が抽出された。各ラインに特徴的に出現するハンノキ群落の型があった。CCAの結果は、強酸性環境にbogが集中的に分布し、Gラインの群落が高塩類濃度環境にあることを反映した。しかしながら、温根内〜安原地区の群落の分布を規制する要因は見いだせなかった。 地下水解析:築堤の影響として,堤内堤外水位の連続性という点では大きな影響はなく,その側部の明渠排水路の水位によってその不連続性がもたらされること,また,その明渠の影響も50m範囲に留まることがわかった。また、築堤により地下水の物質の移動が影響を受けていることが示唆された。 電気探査:当該調査地区での電気探査による電導度測定の適応性とその調査方法を決めるための調査研究を行い、独自に考案した電探による電導度測定が使えることが判明した。 年輪解析:Aラインでは上木のみならずその他の個体も40年〜30年前ごろに集中的に定着しており、またCラインに生育する多くの個体は18年〜22年の集団に属していた。Bラインの個体は、40年前以降、20年以上の期間にわたって定着している傾向があった。 ハンノキ播種・植栽実験:播種実験では、ほとんど発芽が認められなかった。植栽実験では、稚樹生残数は、ボッグの凹地やフェンの凸地で多い傾向にあり、ハンノキ凹地やフェン凹地で少ない傾向となった。また、水位が高い立地ほど稚樹が枯死しやすいことが示唆された。 ハンノキ侵入が及ぼす湿原生態系への影響:1.ハンノキのない場所では、深部の地温が低い。2.日中の気温については、ハンノキ侵入の影響は小さい。3.土壌呼吸のピークは夜間にある。これは土壌呼吸のソースが地表面付近よりもやや深いところにあるためだと考えられる。4.ハンノキ林内の光合成有効放射量は、林外の3〜6割であり、ハンノキの繁茂の状態によって大きく変化する。
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Research Products
(2 results)