2007 Fiscal Year Annual Research Report
木粉・プラスチック複合材の耐候性・耐腐朽性に及ぼす水分の影響の解明
Project/Area Number |
17380109
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
木口 実 Forestry and Forest Products Research Institute, 木材改質研究領域, 室長 (50353660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 厚 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, チーム長 (80353639)
桃原 郁夫 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, チーム長 (60222345)
松永 浩史 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (80391184)
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Keywords | 環境材料 / 高分子構造・物性 / 木材加工・処理 / 長寿命化 / 廃棄物利用 |
Research Abstract |
本研究は、木材・プラスチック複合材(WPC)の耐久性を向上させるために、その劣化要因と予想される水分のWPC中への浸透機構を解明し、劣化との関係を明らかにすることである。19年度は、WPCの耐水性試験及び耐久性試験を継続し、寸法変化や腐朽による質量減少等のデータの収集及び蛍光染料によるWPC中への水分の浸透を可視化し、WPCの耐久性に及ぼす水分の影響を解明した。(1)WPCの質量増加および寸法変化は木粉含量が多いほど大きくなる傾向が認められ、木粉含量が30%以下において高い耐水性が認められる。(2)寸法変化の異方性は、押出方向が最も変化が小さく幅方向、厚さ方向の順となり、その比はおよそ1:5:10であった。(3)20℃90%RHの高湿度下における調湿試験では、試験600日後でも質量及び寸法変化の増加が続いた。試験20ケ月後の質量増加率は木粉40%以上で10%程度となり、PPがほとんど水を吸収しないと仮定すると表面の木粉では含水率が20%と超えるため、腐朽の可能性がある。(4)腐朽槽に1年間埋設した試験片は、木粉50%以上で3%程度の質量減少がみられ、木粉40%でも2%以上の減少が生じたが、木粉30%以下では減少は無かった。一方、JIS1571による室内試験では、木粉50%以上でも白色及び褐色腐朽菌試験共にほとんど質量減少は見られなかった。(5)蛍光染料を用いて水の浸透経路を可視化した結果、水は表層よりほぼ一様に徐々に浸透しており、木粉にしか浸透しないことが明らかとなった。 以上の結果より、WPCは木粉含量が40%以上において吸水性が認められたが、その浸透速度は木材と比較して非常に低く湿潤下での寸法変化も小さかった。しかし、長期間の湿潤状態では表面から徐々に水分が浸透し、表面近傍の木粉は腐朽可能な含水率に達するため、ファンガスセラー試験のような長期間の腐朽試験により、木粉含量40%以上のWPCでは質量減少が生ずることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)