2005 Fiscal Year Annual Research Report
下痢性貝毒原因プランクトンの増殖とその葉緑体起源生物の出現との関係
Project/Area Number |
17380118
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小池 一彦 北里大学, 水産学部, 助教授 (30265722)
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Keywords | 下痢性貝毒 / Dinophysis / Dinophysis fortii / 有毒渦鞭毛藻 / クリプト藻 / 葉緑体 / クレプトプラスト / in situハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
2005年4月より越喜来湾において通年の定点調査、および6月14日、29日に同湾の沖合15マイルにかけて定線調査を行った。本年は対象渦鞭毛藻であるD. fortiiの出現量が極めて少なく、6月21日に湾内定点において最大20cells/Lの出現量が検出されたのみであった。 調査時に、光合成性Dinophysis spp.の葉緑体の起源となっているクリプト藻の検出を、その葉緑体ゲノム上の小サブユニットリボゾーマルRNA遺伝子(SSU rDNA)の特異塩基配列領域に対する蛍光核酸プローブを用いて実施した。この際、設備備品として購入したイメージング蛍光顕微鏡を用い、核酸プローブに結合したFITC蛍光、および核に対するDAPI蛍光を同時検出し、サイズ別ソーティング機能による自動計数を試みた。従来の直接検鏡による計数結果と、自動計数結果の間にはおおむね良い相関関係(R^2=0.898)が得られ、本システムの利用による大幅な省力化が図られた。葉緑体起源クリプト藻の湾内(湾奥、湾央、湾口部)の鉛直空間分布(水深0,10,20m)および沖合定線の水深20mの分布を調べた結果、湾央においては5月18日〜6月30日の期間中、10,000cells/L以上のオーダーで出現し、5月24日の水深10mにおいて29,600cells/L、6月15日の水深20mで28,000cells/Lの高密度出現を示した。湾奥部においては、5月24日水深0mにおいて104,400cells/Lの最大出現を、沖合域においてはSt B(湾口より5マイル沖)において6月14日に73,200cells/Lの出現を示した。以上の結果から、本クリプト藻は湾奥側で最初に出現し、湾央部、沖合へと分布域を広げている様子が観察された。D. fortiiも出現の初期には同様の出現動向を示すことから、本クリプト藻の出現によりD. fortiiが葉緑体を得、その後に増殖することが伺えた。仮説の普遍性を調べるために、D. fortiiの細胞を青森県陸奥湾と広島県瀬戸内海から得て、その葉緑体SSU rDNAの塩基配列を調べた。目下、結果を解析中である。 なお、調査の過程でDinophysis mitraにハプト藻に由来する葉緑体が含まれること、さらに下痢性貝毒の一つに分類されるイェッソトキシンの原因渦鞭毛藻の出現を認め、これらの結果を論文として発表した。さらに、本年度得られたD. fortii細胞の観察過程において、その有性生殖過程の詳細を確認し、本内容も論文として投稿した(受理済み)。
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Research Products
(2 results)