2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメートル粒径領域分散油脂の呈味への寄与ならびにナノ粒子先端機能油脂食品の開拓
Project/Area Number |
17380123
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
大島 敏明 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (70134856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潮 秀樹 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (50251682)
松川 慎吾 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (30293096)
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Keywords | o / wエマルション / 油脂粒径 / 粒径 / 酸化 / 高度不飽和脂肪酸 / 脂肪酸鎖 / 緩和時間 / 運動性 |
Research Abstract |
多くの脂質はエマルション状態で食品中に存在する.したがって,エマルション状態の脂質の酸化を抑制することは食品の加工や貯蔵過程では重要な課題のひとつである.本研究では,水中油型(o/w)エマルションの酸化安定性に及ぼす因子およびo/wエマルションの味覚に及ぼす影響を明らかにするとともに,n-3系高度不飽和脂肪酸の簡便な摂取形態である粉体化油脂の粒径と酸化安定性を検討した. o/wエマルションの油脂粒径が酸化安定性におよぼす影響について検討した.魚油および植物油トリアシルグリセロール(TAG) o/wエマルションの油脂粒径を小さくするにしたがい,酸化安定性は向上した.これまでは,脂質の酸化は粒子界面から進行することから粒子界面の面積の大小が律速と考えられてきた.そこで,o/wエマルションの酸化機構を解明するために,^1H-NMRを用いてTAG分子の脂肪酸鎖の緩和時間(T_2)を測定し,脂肪酸鎖の動きから酸化速度との関連を検討した.その結果,粒径6.54□mエマルションよりも粒径0.815□mエマルションの方が,olefin protonのT_2は長いことが示された.以上から,エステル結合状態における脂肪酸鎖の運動性の相違は酸化速度の違いに及ぼす主要な要因であると推測した.その他の要因として,粒子内の極性物質の移動性の違い,界面活性剤による粒子内油相希釈効果および界面活性剤による粒子界面へのくさび効果を提案した.
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