2006 Fiscal Year Annual Research Report
土壌が有するホメオスタシス機能の最適化による環境保全戦略
Project/Area Number |
17380139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 毅 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (00209892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 勝 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (00181917)
関 勝寿 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (40313069)
藤川 智紀 農村工学研究所, 地域資源部, 特別研究員 (60361573)
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Keywords | ホメオスタシス / 土壌環境 / 土壌修復 / バイオベンティング / メタン / カドミウム / 土壌微生物 / ゼロフラックス面 |
Research Abstract |
土壌のホメオスタシス機能、すなわち、恒常性機能あるいは平衡維持機能は、土壌が示す物理的・化学的・生物的緩衝作用によって発現する。したがって、土壌のホメオスタシス機能を回復することは、重要な環境保全戦略となりうる。本研究は、土壌が本来有しているホメオスタシス機能を最大限に引き出すことによる環境保全戦略を創出することを目的とした。そのために、土壌のホメオスタシス機能として、(1)水循環恒常性機能、(2)炭素循環恒常性機能、(3)熱的恒常性機能に着目し、既存知識の整理、現状分析、問題点の抽出、フィールド調査、室内実験などを通じて、土壌のホメオスタシス機能に依拠した環境保全戦略について、引き続き検討した。 平成18年度は、研究代表者宮崎が全体を統括し、中心的に研究を推進した。分担者溝口は、自動計測とデータベースのネットワーク利用の方向性を検討した。分担者関は、微生物が関与する実験、解析、シミュレーションを継続した。分担者藤川も、ガス状物質が関与する実験、解析、シミュレーションを継続した。 項目別には、(1)北海道美唄湿原の地下水面下に存在した多量のメタンガスの気泡状での大気への放出メカニズムをさらに解明した。その結果、低気圧の通過以外にも、冬季に封じ込められた氷中のメタンバブルが雪解けと同時に大気中の放出されるメカニズムを発見し、国際学会での発表や国際誌への投稿を準備した。(2)土壌が有するホメオスタシス機能を活用して汚染土壌を浄化する実験的研究として、カドミウムのモンモリロナイトへの収着メカニズムをミクロレベルで検討した。その結果、土壌溶液のpHが上昇するにつれ、粘土鉱物表面におけるカドミウムは外圏錯体吸着形態から沈殿形態へとシフトすることを定量的に確かめることができた。(3)土壌中の好気性微生物に対し、強制的に空気を送り込むことによって揮発性汚染溶液の分解を促進するバイオベンティングにおいて、その機作を解析した。(4)周知のよぅに、土壌へ水が浸透した後、重力方向および重力と反対方向にそれぞれ排水が起こる。このときに表れるゼロフラックス面(上昇と下降の分岐面)の挙動は、乾燥地の塩類集積問題に関連して重要である。しかし、その挙動は従来、ほとんど明らかにされてこなかった。そこで、本研究において、そのメカニズムを詳しく調べ、結果を論文にして公表した。
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Research Products
(8 results)