2005 Fiscal Year Annual Research Report
黒毛和種牛におけるGH遺伝子多型とソマトトロピン・産肉性軸
Project/Area Number |
17380159
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 和雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60091831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 嘉明 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50302196)
鈴木 啓一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10344706)
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Keywords | 黒毛和種牛 / ホルスタイン牛 / GH遺伝子 / 遺伝子多型 / ソマトトロピン軸 / 産肉性 / 泌乳量 |
Research Abstract |
黒毛和種牛のGH遺伝子型を、一回のPCRで解析する方法を確立し、以下の実験を実施した。 1.GH遺伝子型がAA、ABおよびBB型である10ヶ月齢の黒毛和種牛31頭を用いて、GH遺伝子型と増体量やホルモン分泌(GH、インスリン、レプチン)およびインスリン様成長因子I(IGF-I)との関連性を検討した。 10ヶ月齢時における体重は、AA=AB>BB型の順位であった、血液中レプチン濃度はBB型が他の型よりも有意に高かった。GH分泌に関しては、血液中基礎GH濃度およびGHRH刺激によるGH分泌増加量はAAとAB型で高かった。血液中IGF-I濃度の順位も、GH分泌や体重の順序と同一であった。結果的に、体重と最も高い相関性が認められたのは、GHRH刺激GH分泌増加量であった。これらの結果から、日本黒毛和種牛においてはA型のGH遺伝子を有する動物が最も大きい体重を示すが、この原因はA型のGH遺伝子を有する動物が最も大きいGH分泌反応を起こすことやIGF-I濃度が最も高くなることなどによることが示された。 2.ホルスタイン種泌乳牛を用いてGH遺伝子型を解析し、泌乳量やホルモン分泌(GH、インスリン、レプチン、グレリン)およびインスリン様成長因子Iとの関連性を検討した。 ホルスタイン種におけるGH遺伝子型は、AA>>AB>BB型の順位であり、BB型は13頭中1頭しか見いだせなかった。泌乳量との関連性で解析したところ、AA=AB>BB型の順位であり、BB型は泌乳量が顕著に低いようであった。血中の基礎インスリン、グレリンやCCK濃度には、有意な差は認められなかった。 この結果は、ホルスタイン種のような泌乳牛では、泌乳量の大きい方への選抜を永年にわたって進めた結果、ほとんどA型の遺伝子を有する動物のみが選抜されてきたことから、泌乳量をより大きくする遺伝子はGHである可能性が強く示唆された。
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